
目次
「選挙のビラを新聞折込したいけれど、違法ではないのかな?効果はある?」
「どんな選挙ビラなら新聞折込していいの?」
そんな疑問や不安を抱いている人はいませんか?
結論からいえば、「選挙ビラ」は選挙期間中であれば新聞折込するのは合法です。
ただし、選挙の告示・公示前であれば、新聞折込含めどんな配り方でも違法になってしまいます。
選挙以外の期間に配れるのは「政治活動ビラ」と呼ばれるもので、種類が違うのです。
そこでこの記事では、
- 選挙ビラを新聞折込する際の法的な規定
- どんな選挙ビラ・新聞折込が違法なのか
について、くわしく解説していきます。
また、
- 新聞折込の基礎知識
- 新聞折込を効果的にする3つのポイント
もお伝えします。
最後まで読めば、どんな選挙ビラが合法なのか、どんな風に新聞折込すれば効果があるのかがわかるはずです。この記事で、あなたが正しく効果的な選挙ビラの折込をできるよう願っています。
1. 選挙ビラを新聞折込する際の規定とは?
「選挙ビラ」と新聞折込に関しては、法的な規定がさまざまあります。
ビラの規格も定められていますし、配る期間や配り方についても決められているのです。そこでこの章では、それらの規定について解説していきましょう。
1-1. 選挙とビラの基礎知識
実は、選挙に関するビラは、大きく以下の2つに分類されます。
1)選挙期間中に「選挙運動」で配るもの=選挙ビラ(法定ビラ、選挙運動ビラ、証紙ビラとも呼ばれる)
2)選挙期間以外(選挙が始まる前)に「政治活動」として配るもの=政治活動ビラ
1)の選挙ビラを配ることができるのは、選挙の告示・公示がされて立候補の届け出をした日から投票日の前日まで、つまり「選挙期間中」に限られます。
この期間は、候補者が選挙に向けて有権者に働きかける、いわゆる「選挙運動」をすることができます。
ビラを配る以外にも、街頭演説や演説会をしたり、選挙カーで選挙区内をまわったりと、さまざまな運動が認められています。
が、選挙運動には、公職選挙法によって細かい規制が設けられています。
例えば、
- 戸別訪問の禁止
- 署名運動の禁止
- 飲食物を提供する場合の制限
- 金銭や物をわたしたり、接待したりする行為の禁止
- 未成年者による選挙運動の禁止
- 文書図画の頒布に関する規制
などがあり、これに違反すると1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
選挙ビラについては、「文書図画の頒布に関する規制」にあたり、配布できる場所や方法、枚数などが細かく決められているのです。
これについては、次項の「1-2 公職選挙法による選挙運動用ビラの規定」でくわしく説明しますので、そちらを参照してください。
一方で、選挙期間中以外に「選挙運動」をすることも、公職選挙法で禁じられています。
選挙の告示・公示がされる前に、「◯◯議会議員候補です」と名乗ったり、投票を呼びかけたりすることはできないのです。
そのかわり、「政治活動」を行うことは認められています。
政治活動とは、政治的な目的で行われる活動から「選挙運動」を除いたもの全般を指す言葉です。
例えば、選挙とはまったく関係なく自分の政治信条を主張したり、特定の政治家を支持したりする行為が含まれます。
この「政治活動」の一環として、ビラを配ることも認められているのです。
選挙運動とみなされる内容でなければ、政治的な主張を記載したビラを撒くことができるというわけです。
「政治活動」のビラの場合、「選挙運動」のビラとは違って、枚数や配り方などにもほとんど規制がありません。
これについても、次項の「1-2 公職選挙法による選挙運動用ビラの規定」で説明していますので、見てみてください。
簡単にまとめると、以下のようになります。
【選挙ビラと政治活動ビラを配る期間】
1-2. 公職選挙法による選挙運動用ビラの規定
選挙運動期間に配ることができる「選挙ビラ」の規定について、「政治活動ビラ」と比較しながらさらにくわしく説明していきましょう。
前述したように、選挙ビラは、選挙が告示・公示された翌日から投票日前日までの、いわゆる「選挙期間のみ」に配ることができます。
すべての選挙ビラには、裏面に選挙管理委員会が交付する証紙を貼らなければいけません。配る場所も、演説会場や新聞折込などに限られ、ポスティングや郵送はできません。
他にもさまざまな規制があり、これに抵触すると公職選挙法違反となってしまいます。一方で政治活動ビラは、選挙期間以外に配るもので、選挙ビラと比べるとほとんど規制がありません。
そしてどちらのビラも、新聞折込で頒布することができます。両者の細かい違いを表にまとめましたので、以下を確認してください。
<選挙運動ビラと政治活動ビラの違い>
選挙運動ビラ | 政治活動ビラ | |
---|---|---|
頒布できる期間 | 選挙告示・公示後の選挙期間のみ (告示・公示翌日~投票日前日) | 選挙期間以外ならいつでも可 |
頒布できる方法 |
|
どんな方法でも可 →新聞折込もOK |
頒布できる枚数 | ・都道府県議会:1万6,000枚 ・政令指定都市議会:8,000枚 ・それ以外の市議会:4,000枚 ・町村議会:頒布禁止 ・市長:1万6,000枚 | 制限なし |
サイズと種類 |
|
いずれも制限なし |
内容 |
|
|
配り方に規制がない政治活動ビラに比べて、選挙ビラはポスティングや郵送が禁じられています。また、演説会場以外では、街なかで不特定多数の人に配ることもできません。
そのため、より多くの人に一斉にビラを届けることができる新聞折込は、選挙ビラにとっては非常に有効な配布方法だと言えるでしょう。
2. こんな選挙ビラ・新聞折込は違法!
選挙ビラを新聞折込で撒くことが、法的に認められていて効果が期待できる方法だということがわかりました。
ただ、前述したように選挙ビラには厳しい規制が課せられていますので、新聞折込を利用する際には、公職選挙法に違反しないよう慎重に検討しなければなりません。
そこでこの章では、「どんな選挙ビラが違法なのか」「どんな新聞折込が違法なのか」を、さらに具体的に解説していきましょう。
ちなみに、「選挙ビラ」だけでなく「政治活動ビラ」の違法例についても知りたい人のために、「選挙公示前」と「選挙期間中」に分けて説明しますので、「選挙ビラについてだけ知りたい」という人は、「2-2. 選挙期間中」のリンク先に飛んでみてください。
2-1. 選挙告示前
選挙告示前は、「選挙ビラ」を配布することはできません。
配れるのは「政治活動ビラ」だけですが、これには選挙に関する記載ができないだけで、ほとんどの場合、今後選挙に出馬を予定している人が、選挙に向けて自分をアピールする目的で配るものです。
そういう意味で、「選挙ビラ」ではないものの、「将来の選挙を見据えて配るビラ」と位置付けることができるでしょう。
そこで、まずは政治活動ビラが違法になってしまうケースから知っておきましょう。
「立候補予定」「候補者」などと明示する
政治活動ビラには、枚数や配り方、内容などにほとんど規制がありません。
ただひとつ、「選挙の事前運動」とみなされてしまう場合だけが、公職選挙法違反となります。
具体的には、「将来選挙に出ること」や「どの選挙に出るか」がわかる表現は違法です。
例えば、
✖「市議会議員候補」「県議会議員候補」
✖「立候補予定者」
✖「目指す市長像」「将来市議会議員になって?」
といった文言をビラに記載することはできないのです。
そのかわり、「明るい◯◯市をつくりたい」「私の目指す市政(県政、町政など)は?」といった表現はセーフです。
街づくりや市政は、議員や市長、ときには市民も参加して行うものなので、この言葉だけではかならずしも選挙に出るとは限りませんし、もし出たとしても、市長選か市議選かを特定することができないためです。
ちなみに、現職の議員や市長の場合、政治活動ビラに「◯◯県議会議員」「◯◯市長」と記載することは合法です。
これはあくまで現在の肩書きであって、「次の選挙に出る」とか、「再選を目指す」という意志があるかどうかはわからないからです。
政策の主張がなく、他者を誹謗中傷するだけ
公職選挙法では、他の候補者を落選させる目的で誹謗中傷する行為を禁じています。
これにより、政治活動ビラや選挙ビラでも、ライバル候補などを貶める内容が記載されていると公職選挙法違反とされる可能性があります。もし違法とされれば、4年以下の懲役または禁錮、あるいは100万円以下の罰金を科せられてしまいます。
実際の条文は、以下です。
<公職選挙法>
第二百三十五条 2
当選を得させない目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事実をゆがめて公にした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮こ又は百万円以下の罰金に処する。
これは、政治活動から選挙運動まで一貫して認められない違法行為です。
また、新聞折込の場合は、折込業者の方でも審査基準を設けていて、誹謗中傷のビラは受け付けられません。くれぐれも言葉選びには気を配ってください。
2-2. 選挙期間中
では、実際の選挙が始まってからの「選挙ビラ」について、違法となるケースを見ていきましょう。
こちらは政治活動ビラに比べて規制が多いので、細心の注意が必要です。
必要な証紙や届出がない
✖選挙管理委員会が交付した証紙が貼られていないビラ
✖そもそも選挙管理委員会に届け出がされていないビラ
はいずれも違法です。
というのも選挙ビラは、配る前にまず選挙管理委員会に届け出をして、それを証明する証紙を交付してもらわなければならないからです。
その証紙を裏面に貼ったビラだけが、選挙期間中に配布を認められます。
例えば、「市議会議員選挙で選管から8,000枚の証紙をもらったけれど、もっとたくさんのビラを撒きたいので、証紙なしでどんどん配ってしまおう」などという行為は、絶対にしてはいけません。
サイズがA4を超えている
選挙ビラのサイズは、「長さ29.7センチメートル、幅21センチメートル(A4版)以下」と決められていますので、それを超える大きさのビラは違法です。
「主張したいことがありすぎて、A4サイズでは書ききれない」と思っても、かならずA4以内に収めてください。
ちなみに、ビラの紙自体がA4サイズであれば、二つ折りや三つ折りなどのリーフレット形式に作っても合法です。
規定のサイズ内で、自分の政策を効果的に訴える工夫をしてください。
頒布責任者と印刷社の住所・氏名の記載がない
選挙ビラには、
- 頒布責任者の住所と氏名
- 印刷会社の住所と氏名(または法人名称)
を記載することが義務付けられていますので、これらがないビラも違法とされます。
頒布責任者は候補者本人でもいいですし、後援会や支持者のひとりなど、誰でも構いません。
ただし、選挙運動ができる人でなければならないため、
✖未成年者
✖選挙事務関係者(投票管理者など)
✖特定公務員(裁判官、検察官、警察官など)
✖選挙犯罪などにより、選挙権および被選挙権を持たない者
は頒布責任者にはなれません。
3種類以上のビラを配布する
選挙ビラには「2種類まで」という規定もあります。
そのため、3種類以上のビラを配布することは、たとえ規定枚数以内であっても公選法違反と判断されます。
もし、「同じ選挙区内でも、子どもが多い地域、高齢者が多い地域、商業地域と3つに分けて、それぞれに合った内容のビラを配りたい」という希望があったとしても、選挙ビラでは2種類までしか認められません。
そんな場合は、選挙告示前までの「政治活動」の期間を活用しましょう。政治活動ビラには種類も枚数も制限がありませんから、
◎地域の特性や課題別
◎年齢層別
といったセグメントをして、3種類でも5種類でもビラを作り分けるとより効果的です。
規定以上の枚数を配る
さらに、以下のように決められた枚数を超えるビラを配ることも禁じられています。
選挙の種類によって枚数は違いますので、間違えないようにしてください。
【選挙ビラの配布枚数の上限】
都道府県議会議員 | 1万6,000枚 |
---|---|
政令指定都市の市議会議員 | 8,000枚 |
一般市の市議会議員 | 4,000枚 |
町村議会議員 | 頒布禁止 |
市長 | 1万6,000枚 |
もし、「もっとたくさん配りたいのに、枚数が足りない」という場合は、ビラの配布先エリアを絞って、
- 自分が訴える政策と関わりの深い地域
- 自分と関わりの深い地域
などに集中的に撒くのもひとつの手です。
さらに、政治活動であればビラの枚数に制限はないので、選挙告示前まではできるだけ広くたくさん撒いて、選挙が始まったらピンポイントで撒く、という戦法もいいでしょう。
ポスティングや郵送する
選挙ビラは、ポスティングと郵送による配布も違法とされます。
ただ、中には「『街頭演説の場で配る』のは認められているんだから、街頭演説のときにその周辺の住宅にポスティングするのはOKだろう」という理屈でポスティングをしようとする人もいるようです。
が、選挙ビラの規定では「ポスティングの範囲がどこまでか」は問題ではなく、そもそもポスティング自体が認められていないので、その解釈ではやはり違法とされるリスクがあるでしょう。
同様の理由で、郵送も一切できません。
選挙ビラを「不特定多数に一斉に届けたい」と思ったら、新聞折込しか方法はないのです。
3. 反響がある新聞折込の基礎知識
選挙ビラを大勢の人に一気に配りたい場合、新聞折込だけが唯一の合法的な方法だということがわかりました。では、実際に選挙ビラを新聞折込する場合、どんな流れでどこに依頼すればいいのでしょうか?
また、その効果はどれほど期待できるのでしょうか?この章では、反響がある新聞折込について、知っておくべき知識をお伝えしていきましょう。
3-1. 依頼から配布までの流れ
新聞折込を請け負ってくれるのは、主に
◎新聞販売店
◎新聞折込を扱う広告代理店
の2種類の業者です。
このどちらかに依頼して、ビラを折込してもらいます。
枚数が多い場合は、直接新聞販売店に依頼するのではなく、広告代理店を挟むことが多いようです。
そこで、広告代理店に依頼した場合の流れを以下にまとめてみました。
- ビラの原稿をデータで入稿する場合
- 完成したビラを持ち込む場合
の2パターンで、業者によって多少の違いはありますが、基本的にはこの流れに沿って進めるものと考えてください。
《ビラの原稿をデータで入稿する場合》
1)新聞折込広告代理店に申し込み
配布するエリアや希望の折込日、どの新聞に折り込むかなどを決めて申し込みます。 |
▽
2)データ入稿 ビラのデザインを完成させて、データで代理店に渡します。 |
▽
3)データチェック・広告審査 ◎ビラのデータが問題なく印刷できるものか をチェックします。 特に内容の審査は、
について精査され、問題があれば新聞折込をしてもらえない可能性があります。 |
▽
4)印刷・搬入
審査で承認されたビラのデータは、印刷に回され、刷り上がったものを配送センターや新聞販売店などに搬入します。 |
▽
5)折込・新聞配達 新聞に折り込み、各家庭の配達されます。 |
《完成したビラを持ち込む場合》
1)申し込み・広告審査 ビラの見本を代理店に持ち込んで、内容が代理店の設けた審査基準にかなっているかをチェックします。
について精査され、問題があれば新聞折込をしてもらえない可能性があります。 |
▽
2)折込日や配布エリアなどの打ち合わせ 審査で承認されれば、配布するエリアや希望の折込日、どの新聞に折り込むかなどを決めます。 |
▽
3)搬入 ビラを配送センターや新聞販売店などに搬入します。 |
▽
5)折込・新聞配達 新聞に折り込み、各家庭の配達されます。 |
3-2. 費用の目安
新聞折込の料金を左右するのは、以下の要素です。
・業者
→各業者によって料金に違いがあるので、ホームページなどで料金表を確認しましょう。
・地域
→一般的に、都会や人口密集地ほど安くなる傾向です。
・ビラの大きさ
→大きいほど高くなります。
※業者によっては、枚数が多いほど料金が安くなる場合もあります。
東京23区内でA4サイズのビラを折り込むのであれば、3.0~3.5円程度から頼むことができるでしょう。
地方でも大都市であれば同程度の費用から請け負ってくれる業者があります。
3-3. 効果
新聞折込の反響率は、一般的な商業広告のチラシに対して0.01~0.3%程度と言われています。
仮に政令指定都市の市議選で、配布枚数上限の8,000枚すべてを新聞折込した場合、計算上では0.8~24人から反響があることになります。「思ったより少ないな」「効果がなさそうだな」と思われるかもしれません。
ただこの数字は、商業ビラに対して実際にお店を訪れたり、問い合わせの連絡をした人の割合です。選挙ビラに特化した反響率というのは見当たらないので、実態は不明です。
一方で、日本新聞協会広告委員会「2015年全国メディア接触・評価調査」による「新聞広告への接触状況」アンケートでは、
- 新聞広告を見ている:69.5%
- 新聞は読まない:20.8%
- 広告は見ない:7.0%
という結果が出ていて、70%近い人は新聞広告に目を通していることがわかります。
選挙ビラを新聞折込すれば、7割の人が見てくれるというわけです。また、新聞の購読者は高齢者ほど多く、選挙の投票率も高齢者ほど高いということにも注目です。
総務省による「平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、「新聞行為者」(新聞を読んでいる人)の年代別割合は以下の通りです。
《平成30年度 新聞行為者率(年代別)》
10代:2.5%
20代:5.3%
30代:13.0%
40代:23.1%
50代:43.9%
60代:52.8%
一方で、選挙の投票率を見ると、例えば2017年の衆議院議員総選挙の年代別投票率(総務省発表)は以下のようになっています。
《衆議院議員総選挙における年代別投票率の推移》より抜粋
2017年
10代:40.49%
20代:33.85%
30代:44.75%
40代:53.52%
50代:63.32%
60代:72.04%
70代以上:60.94%
どちらも年代が上がるほど率が高くなっています。
つまり、投票率が高い高齢者ほど、新聞を読んでいる率が高いわけで、選挙ビラの新聞折込は、投票に積極的な層に届きやすいアピール手段だと言えるでしょう。
4. 新聞折込を有効にする3つのポイント
では最後に、新聞折込をより効果的にするためのポイントを挙げておきましょう。以下の3点を実行すれば、選挙ビラをより有効に活用することができるはずです。
4-1. 政治活動ビラと統一感を出す
ほとんどの候補者は、選挙運動に入る前から、政治活動として自分の顔と名前、政策をアピールしています。
選挙の事前運動とみなされて公職選挙法違反にならないよう、「政治活動の報告」や「政策の主張」という形で、ビラを撒く場合が多いのです。
そこで、この政治活動のビラと、選挙運動のビラに統一感を持たせて作るのがオススメです。
というのも、選挙期間は短いもので、一般市の市議会議員選と市長選で7日間、政令指定都市の市議会議員選や都道府県議会選で9日間しかありません。
この短期間だけで、有権者に自分の顔と名前を売り、政策を理解してもらうのは難しいものです。そのため、選挙の数ヶ月前から政治活動をしておく必要があるわけです。
その際に、政治活動のビラと選挙運動のビラが統一されていれば、短い選挙期間中にビラを目にした人が、「ああ、前からビラを配っていたあの人が立候補したのか」「たしか◯◯の問題に取り組んでいる人だったな」と思い出してもらえる確率がグンと上がります。
他の候補者よりも、記憶や印象に残りやすくなるのです。
具体的に統一感を出す方法は、
◎テーマカラーを決めて、すべてのビラやアイテムに使う
◎スローガンをひとつに決めて、政治活動から選挙運動まで一貫して使い続ける
◎デザインを同じ人・同じ会社に依頼する
◎顔写真に統一感を出す(ビラによって髪型や服装を大きく変えない)
などです。
つまり、選挙の数ヶ月1から年前に政治活動を始める時点で、選挙ビラのことまで見据えた計画が必要だというわけです。
4-2. ターゲットに合わせて新聞を選ぶ
ひと口に新聞といっても、購読者の特徴はさまざまですので、自分の政策や支持者層に合った読者が多い新聞を選んで折込する必要があります。
例えば全国紙では、
◎読売新聞:発行部数がもっとも多く、さまざまなターゲット層に広く読まれている
◎朝日新聞:全国紙の中では比較的高学歴の読者が多い
◎毎日新聞:比較的高齢で年収の高い、生活の安定した読者が多い
◎日経新聞:ビジネスマンや経営者によく読まれ、高学歴・高収入の読者がもっとも多い
といった読者傾向があります。また、政治に関する記事において、保守的な立場かリベラル傾向があるかなども新聞によって異なります。
さらに、
◎東京新聞・中日新聞などのブロック紙
◎各県や地域向けの地方紙
は、地方によっては全国紙よりも影響力が強い場合もあるので、地方選挙では折込の効果が期待できます。以上の特徴や読者層を踏まえて、自分がもっともアピールできそうな新聞はどれかを判断して新聞折込をしましょう。
4-3. ネット選挙と連携させる
2013年にインターネットによる選挙運動=ネット選挙が解禁されてからは、インターネットで候補者の情報を調べる有権者も増えてきました。
そこで、このネット選挙を上手に活用するため、選挙ビラや政治活動ビラと連携させる必要があります。
具体的には、ビラの中に、候補者のホームページのURLやSNS(TwitterやFacebookなど)のアカウントを掲載するのです。
ビラを手にした人が、「もっと知りたいな」「ビラを読むのは面倒だけれど、SNSなら気軽に見られるな」と思ったとき、簡単にアクセスできるようにしてください。
もちろん、ホームページを頻繁に更新したり、SNSで興味や親しみを持ってもらえる内容をたくさん投稿するなど、ネット選挙を活発に行うことも重要です。
新聞折込はシニア層には有効ですが、新聞購読率が低い若者には届きにくいという難点があります。それを補うためにも、若者にアピールしやすいネット選挙との連携が必須なのです。
まとめ
いかがでしたか?選挙ビラは合法で効果的に新聞折込できるということがわかったかと思います。
では最後にもう一度、記事の要点をまとめてみましょう。
・「選挙ビラ」は選挙期間中なら新聞折込するのは合法
→選挙期間以外は「政治活動ビラ」しか配布できない
・選挙ビラ・新聞折込が違法になるのは以下の場合
<選挙告示前>
- 「立候補予定」「候補者」などと明示する
- 政策の主張がなく、他者を誹謗中傷するだけ
<選挙期間中>
- 必要な証紙や届出がない
- サイズがA4を超えている
- 頒布責任者と印刷社の住所・氏名の記載がない
- 3種類以上のビラを配布する
- 規定以上の枚数を配る
- ポスティングや郵送する
新聞折込を有効にする3つのポイントは、
- 政治活動ビラと統一感を出す
- ターゲットに合わせて新聞を選ぶ
- ネット選挙と連携させる
これにしたがって、あなたが公選法に違反することなく選挙ビラを新聞折込して、効果を上げることを願っています!