チラシを配布したい時、新聞折込かポスティング広告を考える方が多いと思います。しかし、「そもそも新聞折込とポスティングってどこが違うの?」「どちらが反響率が高いんだろう?」という疑問が湧いてきますよね。
似ているように見える新聞折込とポスティングですが、実は、比べてみると結構違いがあるものなのです。
新聞折込 | ポスティング | |
---|---|---|
配布エリア | 全国どこでも可能 | 人口が少ない地域だと 配布できない場合も |
ターゲット | 新聞購読世帯のみ | 全世帯に対応 |
配布物の形状 | 新聞にはさめる チラシのみ可能 | ポストに入れば何でも可能 紙媒体・試供品・ノベルティ等 |
セグメント配布 | 配布するエリアのみ 選べる |
細かい指定が可能 戸建のみ・事業所のみ等 |
配布コスト | 1枚3~4円程度 | 1枚3~8円程度 (チラシの場合) |
カバー率 | 50%前後 減少傾向にある | 80%~100% |
反響率(効果) | 0.01%~1% 業種によって差が出る | 0.3%前後 |
この記事では、折込かポスティングかで悩んでいる方が、自分に合うのはどちらの方法か判断できるよう、配布エリア、ターゲット、配布物(配布できる形状)、セグメント配布、配布コスト、カバー率、反響率(効果)の7項目について、徹底的に比較していきます。
さらに、「こんな場合は新聞折込が向いている」「こんな場合はポスティングが向いている」例についてもお話します。
新聞折込が向いているケース | ポスティングが向いているケース |
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最後まで読んでいただければ、新聞折込とポスティングの中から、根拠と自信を持って最適な方法を選べるはずです。ぜひ参考にしてください。
1. 新聞折込の特徴・メリット・デメリット
新聞折込とポスティングを比較する前に、それぞれの特性を知る必要があります。1章ではまず、新聞折込の特徴、メリット、デメリット、反響・効果を解説します。
1-1. 新聞折込とは
「新聞折込」とは、毎日各家庭に配達される新聞に挟んで配布される紙媒体の広告です。単に「折込チラシ」などと呼ばれることもあります。
新聞を読んでいる方なら、スーパーの特売チラシ、不動産広告、パートやアルバイトの求人など、さまざまな折込広告を目にしたことがあるでしょう。
1カ月の間に新聞に折り込まれるチラシの枚数は全国平均で351.3枚。1日あたり10枚以上の広告が折り込まれている計算になり、現在でも多くの企業で販促手段として活用されていることが分かります(2020年3月の統計データ)。
参考:J-NOA「月間折込広告出稿統計データ【全国版】 2020年3月版」
1-2. 新聞折込のメリット
新聞折込の広告には、以下のようなメリットがあります。
-
- 特定の地域の人に届けることができる
- 新聞に折り込まれるので、確実にターゲットに届けられる
- ポスティング広告と比べると、1枚あたりの配布費用が安い
- 予算や目的に応じて、戦略的にエリア・ターゲット・部数を設定可能
- 新聞の銘柄や配布エリアによって、ターゲットを確実に捉えられる
- 折込日を自由に設定できる(休刊日を除く)
- 新聞と一緒に手元に届くので、すぐに捨てられず、読まれる確率が高い
- 高齢者、主婦、ファミリー層へのリーチ率が高い
1-3. 新聞折込のデメリット
一方で、新聞折込には以下のようなデメリットがあります。
-
- 新聞を購読している世帯にしか届けられない
- 若い世代など、新聞購読率が低いターゲットには向いていない
- ターゲットの年齢層は絞れない
- 新聞に折り込める形状のチラシしか配布できない
1-4. 新聞折込の反響・効果
株式会社地域新聞社の調査結果によると、新聞折込チラシの効果(反響率)は、0.01%~1%と、業種によってかなり差があることが分かっています。
反響率の良い「食品スーパー」では、新聞折込を1万枚配布して100人の反響があり、「住宅チラシ」の場合は、1万枚で1人の反響がある計算です。
折込チラシの目玉である特売チラシなどは反応が良い一方、住宅チラシは細かくセグメントしづらい新聞折込では反響率が下がる傾向にあると考えられます。
さらに詳しい反響率や効果を知りたい方は、「折込チラシは本当に効果があるの?折込チラシで得られる6つの効果」の記事をご覧ください。
2. ポスティングの特徴・メリット・デメリット
次に、ポスティングの特徴、メリット、デメリット、反響・効果を解説します。
2-1. ポスティングとは
「ポスティング」とは、チラシなどの広告や販促物を、個人宅や事業所のポストに直接投函する宣伝広告手法です。
語源は、「post」の動詞としての意味である「投函する、ポストに入れる」のing系、つまり「ポストに入れること」からきています。
あなたの家にも、新築マンション販売のチラシ、宅配ピザのメニュー、リフォームのお知らせなど、多くのポスティングチラシが届いているのではないでしょうか。
配布を請け負う専門のポスティング業者も多くあり、人気の高い広告手法です。
2-2. ポスティングのメリット
ポスティングの広告には、以下のようなメリットがあります。
-
- ポストに直接配布できるので、一度は必ず手に取ってもらえる
- チラシの形状以外(厚みのある冊子など)でも配布できる
- 新聞を読んでいない世帯を含め、全世帯に届けられる
- 配布エリアを町丁別にセグメントできる(任意の建物指定も可能)
2-3. ポスティングのデメリット
一方で、ポスティングの広告には、以下のようなデメリットがあります。
-
- 新聞折込と比べると、1枚あたりの配布費用が高い
- 配布スタッフが一軒一軒投函するので、配布数の上限がある
- 確実に配布されているのか、状況を把握しづらい
- ポスティングを希望しない住民からのクレームの可能性がある
- 配布延期の可能性があり、天候に左右されがち
- 新聞折込と比べると、読んでもらえる確率が低め
2-4. ポスティングの反響・効果
ポスティング広告の効果(反響率)は、おおよそ0.3%程度だといわれています。つまり、新聞折込を1万枚配布した場合、平均して1~30人の反響が見込める計算です。
単価の高い業種では、かなり費用対効果が高い広告といえるでしょう。
さらに詳しい反響率や効果を知りたい方は、「反響率は0.3%!ポスティングで得られる3つの効果を徹底解説」の記事をご覧ください。
3. 新聞折込とポスティングを項目ごとに比較
新聞折込とポスティングは、郵便を使わずに広告をターゲットに届けるという点で共通していますが、細かく比較してみると結構違いがあることに気付くことでしょう。
配布エリア、ターゲット、配布物(配布できる形状)、セグメント配布、配布コスト、カバー率、反響率(効果)の7項目について、徹底的に比較していきます。
3-1. 配布エリア:全国対応の折込vsピンポイントのポスティング
新聞折込 | ポスティング |
---|---|
全国どこでも可能 | 人口が少ない地域だと 配布できない場合も |
新聞折込は新聞に挟み込む広告ですので、新聞とともに新聞配達員によって配達されます。
新聞は全国どこにでも配達されているため、折込広告も、希望すれば全国どこへでも配布することが可能です。
一方のポスティングは、広告主自身が配布することもできますし、業者に依頼することもできます。
自分で配布する場合は、近辺の地域に限られるので「地元にピンポイントで配布したい」という場合には向いています。
業者に依頼する場合は、おおむね全国のどこへでも配布してくれる業者がありますが、人口が少ない過疎化した地域などは、地域をカバーしている業者がおらず、配布できないこともあります。
まとめ
◎折込は、地方や人口の少ない場所でも配布可能
◎ポスティングは、住宅や事業所が多く集まっている都市部や市街地での配布向き
3-2. ターゲット:新聞購読世帯のみの折込vs誰にでも届くポスティング
新聞折込 | ポスティング |
---|---|
新聞購読世帯のみ | 全世帯に対応 |
新聞に折り込む広告は、新聞を購読している世帯にしか届けられません。最近では新聞購読率は減少していて、特に都市部や若年層での減少傾向が顕著です。
新聞を読んでいる人の割合は、50~60代では4割~5割程度ですが、20代では1割にも満たないというデータがあります。
参考:Yahoo!ニュース「20代の新聞閲覧率は1割足らず…主要メディアの利用状況をさぐる(2019年公開版)」
そのため折込は、中高年層をターゲットとした広告向きとされています。
例えば、スーパーやドラッグストアなどの特売チラシ、主婦層や高齢者層中心のパート・アルバイト求人、飲食店の宅配メニューなどです。
対するポスティングは、ポストがあればどこにでも配布ができます。
若者から高齢者まで、ターゲットを絞らずに誰にでも広告を届けることができるのです。
さらに、
「学習塾の広告なので、子どものいそうな世帯にのみ配布したい」
「若いアルバイトが欲しいので、単身者向け賃貸に絞って配りたい」
など、ターゲットを絞ってポスティングすることも可能です。
まとめ
◎折込は新聞購読世帯のみ、主に中高年層がターゲット
◎ポスティングは老若男女をカバー、場合によりターゲットを絞ることもできる
3-3. 配布物:チラシのみの折込vs何でも配れるポスティング
新聞折込 | ポスティング |
---|---|
新聞にはさめる |
ポストに入れば何でも可能 紙媒体・試供品・ノベルティ等 |
折込は、新聞の間に挟むという性質上、紙の広告に限定されます。
また、サイズもあまり小さいものは向かないので、主にB4サイズ、またはA4サイズが利用されます。
それに比べてポスティングは、ポストに入れば何でも配布できます。
紙のチラシはもちろん、
- 封筒に入ったもの
- 化粧品の試供品
- 企業名入りのうちわ
- 冷蔵庫に貼れる小さなマグネット式の水道工事広告
など、立体的なものや変形のものなど、さまざまな配布物を作ることができます。
まとめ
◎折込広告は、B4やA4のチラシに限る
◎ポスティングは、チラシ以外にもなんでも配布可能
3-4. セグメント配布:販売店ごとの折込vs条件指定できるポスティング
新聞折込 | ポスティング |
---|---|
配布するエリアのみ 選べる |
細かい指定が可能 |
新聞折込は、配達するすべての新聞に広告を挟み込むため、配達エリアすべてにチラシが届くことになります。
配達地域内で、「この条件の家にだけチラシを挟み込んで、それ以外の家には配布しない」ということはできません。
そのかわり、販売店ごとに配布の依頼ができるので、「この地域で新聞を購読しているすべての家に配布する」といった販売店ごとのセグメントは可能です。
一方でポスティングは、人力で一軒一軒配布するため、
「新規開店するので、徒歩圏内に配布したい」
など、自由に配布エリアを決めることができます。
また、
「新築マンションの案内なので、その近辺で古い家が集まっているエリアに広告したい」
「学生アルバイトを募集したいので、学生向けアパートにのみ配布したい」
といった、ターゲットの条件をつけて配布することもできます。
まとめ
◎折込は、新聞販売店ごとの地域セグメントでの配布が可能
◎ポスティングは、地域別セグメントに加えてターゲット別セグメントでの配布も可能
3-5. 配布コスト:3〜4円の折込vs3〜8円のポスティング
新聞折込 | ポスティング |
---|---|
1枚3~4円程度 |
1枚3〜8円程度(チラシの場合) |
折込の場合、配布コストは3〜4円程度が目安です。
枚数や配布地域などによっても変わってきますが、新聞に挟み込む手間が必要なだけで、配布自体は新聞配達と同時にしてもらえるので、ポスティングに比べて安価で済むという利点があります。
それに比べてポスティングは、人力で一軒一軒配らなければいけないので、人件費としての配布コストが必要になります。
おおよそは3〜8円程度が相場で、住宅密集地であれば安価になり、配達先の密度が下がれば料金も上がります。
まとめ
◎折込は、3〜4円程度でリーズナブル
◎ポスティングは、折込よりはコストがかかり、住宅が少ない地域ほど料金もアップする
3-6. カバー率:50%前後の折込vs80%前後のポスティング
新聞折込 | ポスティング |
---|---|
50%前後 |
80%~100% |
カバー率とは、対象地域の人口に対して、どれくらいの割合に配布できるか、ということです。
折込のカバー率は、新聞の購読率と同じなので、50%前後となります。定期購読率は減少傾向にありますので、今後もう少し下がる可能性があります。
ポスティングは、指定したエリアに人力で一軒ずつ配布するので、理論的には100%のカバー率となります。ただし、実際には「チラシお断り」などの張り紙をしている家には配れません。
また、以前にトラブルになったりクレームがあったりして、ポスティング業者の「配布禁止リスト」に載っている家にも配布しないので、実質的には80%程度です。
まとめ
◎折込のカバー率は、新聞購読世帯がどれくらいあるかによるのでおよそ50%
◎ポスティングは、配布できない家の数により80〜100%
3-7. 反響率:業種で差がある折込vs高めのポスティング
新聞折込 | ポスティング |
---|---|
0.01%~1% |
0.3%前後 |
チラシを受け取った人のうち、それに反応して来店したり問い合わせをしたりした人の割合を示すのが反響率です。
「反響率が高い=宣伝効果がある」わけですが、その数字はどうでしょうか。
新聞折込広告の場合、反響率は業種ごとにかなり差が現れます。
株式会社地域新聞社の調査結果によると、新聞折込広告の反響率は0.01〜1%と、業種によってかなり差が出たそうです。
「食品スーパー」の反響は高く1%もの反応がありました(1万枚で100件の反響)。「宅配チラシ」の反響率も0.3%と割合高めです。一方、「リフォームチラシ」は0.02%、「住宅チラシ」は0.01%と、反響率は低めです。
一方のポスティングは、反響率の目安は0.1〜0.3%、1万軒配れば10〜30軒と、折込に比べて平均的に考えると高めです。
また、ポスティング業者の中には「反響率3.5%」など、反響率の高さを謳っている会社もあります。
配布する曜日や時間、配布先の決め方などを工夫することで、反響率を上げることができるのです。
まとめ
◎折込の反応率は0.01〜0.3%、広告の業種によって差があり、スーパーや宅配には効果的
◎ポスティングの反応率は0.1〜0.3%、配布のしかたによってはさらにアップすることができる
4. 新聞折込とポスティングを効果的に使い分けよう!
似ているように思える新聞折込とポスティングですが、細かく見てみるとさまざまな違いがあり、どちらにも強みと弱みがあることがお分かりいただけたでしょうか。
単純にどちらが優れているとはいえず、新聞折込が効果的なケースもあれば、ポスティングが効果的なケースもあるのです。
そこでこの章では、「こんな場合は新聞折込の方がおすすめ」「こんな場合はポスティングの方がおすすめ」を具体的に解説します。
4-1. こんな場合は新聞折込の方がおすすめ
ここまで説明したように、ポスティングと比べて新聞折込の方がアドバンデージを持っているのは、以下の項目です。
◎配布エリア:全国どこでも配布可能、地方の人口が少ない地域でも配布できる
◎ターゲット:カバー率は低いが、中高年層の割合が高い
◎配布コスト:1枚3~4円前後と安価
◎反響率:スーパーや宅配のチラシが特に高い
つまり、新聞折込が向いているケースは、以下のような場合です。
- 食料品店・総合衣料品店など、ターゲット層が広い業種の場合
- スーパーの特売や宅配サービスのチラシなど、使用頻度の高い業種の場合
- 顧客単価が低いサービスの場合(低コストで配布できるため)
- 高年齢層にアピールしたい場合
- 高所得層をターゲットにしている場合(新聞購読者は高所得の傾向があるため)
- ポスティングよりコストを抑えたい場合
4-2. こんな場合はポスティングがおすすめ
折込に比べてポスティングの方が強みを持っているポイントを挙げてみましょう。
◎配布エリア:地域を絞っての配布に強い
◎ターゲット、カバー率:配布したい地域・世帯の全戸にも配布可能
◎配布物:紙媒体以外にも、変わった形の広告、試供品やノベルティなど何でも配布可能
◎セグメント配布:戸建てのみ、子どものいる家庭のみなど、条件指定もできる
◎反響率:ポスティング業者の工夫次第で反応を高めることができる
つまり、ポスティング広告が向いているケースは、以下のような場合です。
- ごく小規模の地域のみ配りたい場合(個人経営の塾や整骨院、期間限定イベントなど)
- 地域密着型の企業や店舗、サービスを宣伝したい場合
- 紙のチラシ以外のものを配布したい場合(化粧品の試供品、うちわ型の広告など)
- 細かくターゲットを絞って配布したい場合(子育て世帯のみ、対象物件のみなど)
- すぐに広告を配布したい場合(周知した情報の訂正など)
- 新聞購読率が低い若い世代がターゲットの場合
まとめ
いかがでしたか?
折込とポスティングの特徴や違いについて、詳しく理解してもらえたかと思います。では最後に、この記事の要点をまとめてみましょう。
◾️新聞折込とポスティングの特徴・違いは、
- 配布エリア:全国対応の折込vsピンポイントのポスティング
- ターゲット:新聞購読世帯のみの折込vs誰にでも届くポスティング
- 配布物:チラシのみの折込vs何でも配れるポスティング
- セグメント配布:販売店ごとの折込vs条件指定できるポスティング
- 配布コスト:3〜4円の折込vs3〜8円のポスティング
- カバー率:50%前後の折込vs80%前後のポスティング
- 反響率:業種で差がある折込vs高めのポスティング
この記事を踏まえて、あなたの会社・お店のチラシを配布する際に、折込とポスティングを効果的に使い分けできるようになれば幸いです!