「ポスティングをしたいけれど、法律的に問題ないのかな?」
「ポスティングは違法だ!」と言っている人もいるけれど、訴えられたりするの?
そんな疑問や不安を抱いてはいませんか。
結論から言えば、ポスティングは違法ではありません。
「広告をポストに投函する行為」自体を禁止する法律はないからです。
ただし、ポスティングに付随する行動が法律に違反してしまう危険性はあります。
例えば、
- ポストがマンションの敷地内にあるので、「立ち入り禁止」と張り紙があるが中に入った
- アダルトビデオのチラシをポスティングした
などの場合、「ポスティング」自体ではなく、「敷地に無断で入ったこと」や「チラシの内容が不適切であること」が法に触れてしまうのです。
ですから、ポスティング自体は合法でも、場合によっては違法行為につながるわけです。
そこでこの記事では、
- ポスティングが違法ではない理由
- 「違法だ」という人たちの主張とそれに対する反論
- ポスティングが違法になってしまうケース
について、詳しく説明していきます。
さらに、
もし「違法だ!」と責められた場合の対処法
についても紹介しています。
これを読めば、ポスティングの何が合法で何が違法なのか、正しく理解できるでしょう。
ぜひ最後まで熟読して、法律に反しない正しいポスティングを知ってください!
目次
1. ポスティングは基本的に違法ではない!
結論から言えば、ポスティングは違法ではありません。
安心してください。
その理由について、以下に詳しく説明しましょう。
1-1. 違法ではないと言える理由
具体的に説明すると、「ポスティング=個人宅などのポストに広告物を投函する行為」自体は、禁止する法律がないため違法ではありません。
また、ポスト自体が郵便物や配布物などを受け取るためのものなので、それを設置しているということは、基本的には配布物の投函を認めていると判断できます。
ただし、ポスティング自体ではなくそれに関連する行為が、違法とされる可能性はありますので要注意です。
例えば以下のようなケースが主な違法行為です。
【刑法130条 住居等侵入罪】(不法侵入)
▼住宅でポストが公道に面していず、敷地内にあったため、中に入って投函した
▼マンションなどの集合住宅で、「チラシお断り」「立ち入り禁止」などの禁止表示があるのに中に入って投函した
【刑法第261条 器物損壊等罪】
▼ポストに無理に投函しようとして、ポストを壊してしまった
【都道府県の迷惑防止条例】
▼わいせつなチラシを投函した
などです。
これ以外にもいろいろと気をつけなければいけないことがあり、後ほど詳しく説明していますので、「2. ポスティングが違法になってしまうケース」も参照してください。
1-2. 「違法だ」という人たちの主張とそれに対する反論
一方で、あくまで「ポスティング行為自体も違法だ」という人たちもいます。
その人たちの主張は、
「無断で敷地に立ち入っているから」
「過去に違法と認められた判例があるから」
というものです。
まず「無断で立ち入り」については、場合によって以下のように分けて考えられます。
1)個人宅など、ポストが公道に面している場合は、敷地内に立ち入らなくても投函できる。
→ 投函自体は違法性はないので、この場合は違法にならない。
2)個人宅でもポストが敷地内にある場合は、無断で立ち入ると不法侵入になってしまう。
→ ポスティング業者などでは、こういう場合は投函しないようにしているケースが多い。
3)マンションなどの集合住宅は、駐車場やエントランスなどの共有部分も法律では「住居」と判断されるので、無断で立ち入ると不法侵入になってしまう。
→ 必ず管理人に許可をとり、許可された場合にのみ投函すればよい。
これらのルールにのっとって行う限り、ポスティングは違法にはなりません。
次に、「過去に違法とされたことがある」という主張ですが、実は以下のような2つの判例があるのです。
◾️立川反戦ビラ配布事件
2004年、立川自衛隊の官舎に立ち入って反戦を訴えるビラをポストに投函した3名が、住居侵入で逮捕され、最高裁で有罪が確定した。
◾️葛飾政党ビラ配布事件
2004年、葛飾区のマンションに特定の政党の議会報告やアンケートを投函していた男が、住民に住居侵入として現行犯逮捕され、最高裁で有罪が確定した。
ただし、これら2つの事件には以下のような共通点があります。
- 罪状は「住居侵入」である
- ポスティングされたものが政治的な文書である
つまりこれらは、「住居侵入」事件であって、ポスティング自体が有罪とされた判例ではないのです。
特に立川の事件では、敷地内への立ち入りやビラ配りを禁止する貼り札が掲示されているにも関わらず、複数回にわたって侵入・投函していて、そのたびに被害届を出されていたことが重視されました。
また、どちらのビラも政治的な内容で、企業の広告宣伝用のチラシではありません。
商業目的のチラシをポスティングして、逮捕や裁判になることはほとんどないようです。
2. ポスティングが違法になってしまうケース
ポスティング自体は違法ではないとはいえ、ポスティングに付随して行なったことが罪になる可能性はあります。
違法行為になるのはどんなケースか、以下に挙げていきましょう。
2-1. 住居侵入をしてしまった場合
ポストが公道に面している場合は問題なくポスティングできますが、ポストが住宅やマンションの敷地内にある場合、無断で立ち入ってしまうと刑法第130条の住居侵入罪に問われる可能性があります。
条文を見てみましょう。
刑法第130条 住居侵入等
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
「人の住居若しくは人の看守する邸宅」とは、人が住んでいる建物や部屋だけを表すものではありません。
戸建であれば門内の庭などを含めた敷地すべて、マンションなどの集合住宅ならエントランスや駐車場などの共有スペースまで含めた敷地全てが該当しますので、注意が必要です。
特に「立ち入り禁止」「チラシ配布禁止」といった張り紙がある場合は、罪に問われる可能性が高くなります。
管理人などからの許可がもらえなければポスティングは諦めましょう。
ただしこの条文は、「正当な理由」があれば敷地内に立ち入ってもいいという意味でもあります。
ポスティングによる宣伝活動はこの「正当な理由」に該当するのではないでしょうか?
これについては意見が分かれるようですので、この法律によって「ポスティングによる敷地内立ち入りは合法だ」と考えるのは危険でしょう。 やはり完全に違法性なくポスティングするには、マンションなどでは管理人に許可を求めることが必要なのです。
2-2. 「チラシ禁止」を無視して投函した場合
「チラシ禁止」「立ち入り禁止」などの張り紙がある場所に、無断で立ち入ってポスティングした場合も、住居侵入罪に問われる可能性があります。
さらに、軽犯罪法の以下の条文にも反してしまうかもしれません。
軽犯罪法第1条第32項
入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者
住民が張り紙をして「入ることを禁じた場所」には入らないようにしましょう。
2-3. チラシの内容が公序良俗に反する場合
チラシの内容が問題になる場合もあります。
よくあるのは、風俗関係のいわゆる「ピンクチラシ」です。
それらを配布することは、以下の法律に違反します。
風俗営業法第28条第5項2
人の住居にビラ等(ビラ、パンフレット又はこれらに類する広告若しくは宣伝の用に供される文書図画をいう。以下同じ。)を配り、又は差し入れること。
また、都道府県の迷惑防止条例にも引っかかってしまいます。
例えば東京都では、以下のように定めています。
東京都 迷惑防止条例第7条1 不当な客引行為等の禁止
わいせつな見せ物、物品若しくは行為又はこれらを仮装したものの観覧、販売又は提供について、客引きをし、又は人に呼び掛け、若しくはビラその他の文書図画を配布し、若しくは提示して客を誘引すること。
これに該当するようなチラシは、ポスティングも街頭配布もできませんので気をつけましょう。
2-4. その他
他にも、以下のような場合は違法と判断される可能性があります。
- 間違って投函したチラシを、ポストから無断で取り戻した → 軽犯罪法違反
- 郵便物がいっぱいに詰まっているなど、投函しづらいポストに無理に投函して、ポストを壊してしまった → 刑法の器物損壊罪
- ポスティング中、マンションなどの敷地内に自転車をとめておいた → 刑法の住居侵入罪
法律とマナーを守って、正しいポスティングをしてください。
3. 違法と指摘された場合の対処法
法律に従ってポスティングしているつもりでも、住民から「違法だ!」「警察に通報する」と言われてしまうこともあります。
そんな時は、以下のように対応しましょう。
1)まず謝罪
どんな事情があっても、まず謝罪しましょう。
たとえ法律には違反していなくても、先方が不快な思いをしているのは事実なので、間違っても「違法ではありません」などと言い返してはいけません。
2)事情説明
話を聞いてもらえそうになったら、事情説明をしましょう。
もしマンションなどで、事前に管理人に許可をもらっている場合は、立ち会ってもらえればベストです。
3)チラシを回収
チラシはこちらで回収してください。
先方に捨ててもらうのは、余計な手間をかけさせてしまうだけなので避けましょう。
4)今後は投函しないことを約束
「今後は二度と投函しません」と、相手に約束しましょう。
5)禁止リストに追加
ポスティング業者の場合、クレームがあった家など「ここには配布しない」という場所のリストを作成していて、配布スタッフに周知しています。
指摘があった家をこのリストに入れ、スタッフ全員に徹底してください。
6)金銭要求には応じない
最悪の場合、「警察に通報されたくなければ迷惑料を払え」などと、金銭を要求されることもあります。
そうなったら、すぐに支払ってはいけません。
できれば謝罪を重ねて納得してもらいましょう。
納得してもらえずに要求が続くなら、マンションの場合は管理会社や管理組合に相談するのも手です。
間に入ってもらえるかもしれません。
それでもどうにもならなければ、最終手段は弁護士に依頼することです。
正当な理由がないのに金銭を要求することは、お金の強取として相手側が罪に問われる可能性もありますので、それを根拠にして弁護士に和解してもらいましょう。
◾️違法性のないポスティングをするなら、ポスティング業者に依頼するのもオススメ
「気をつけていても、気づかずに違法行為をしてしまわないか心配…」
「違法でなくても住民から『違法だ!』『訴える!』と言われるのは怖い…」
そんな恐れがある場合は、ポスティング業者に依頼するのもオススメです。
業者はポスティングのプロとして多くの経験と知識の蓄積があり、何が違法で何が合法なのかもよくわかっているからです。
もしクレームが発生した時でも、対応に慣れているので安心して任せられるでしょう。
ポスティング利用時のトラブルの対処方法が知りたい方はこちら
まとめ
いかがでしょうか?
ポスティングは正しく行えば違法ではないことを理解してもらえたかと思います。
ではここでもう一度、記事の内容をまとめてみましょう。
- 「ポスティング=個人宅などのポストに広告物を投函する行為」自体を禁止する法律がないため、違法ではない
- ポスティングが違法になってしまうケースには、例えば以下のような場合がある
①住居侵入をしてしまった場合
②「チラシ禁止」を無視して投函した場合
③チラシの内容が公序良俗に反する場合
違法性が心配なら、ポスティング業者に依頼するのがオススメ。
これらの知識をもとに違法行為を避けて、正しいポスティングを行えるよう願っています!