「リコールで商品の回収が必要になったら、どんなコストがかかるんだろう」
「リコールになったら費用負担は高額になるのかな」
あなたは今、リコールで商品回収にかかる費用について心配されていませんか。
実際にリコールが発生すると、迅速に商品回収を行うためにさまざまな費用負担が発生します。これを把握することは、いざという時にお店や会社を守るうえで欠かせません。
そこで今回はリコールが発生した際、製品回収に必要になる以下の6つのコストについて解説します。
- 取引企業、店舗への商品回収費用
- 購入者への告知のための費用
- 新聞での告知費用
- 購入者からの返品にかかる費用
- 回収した製品の廃棄費用
- 購入代金の返金、または代替品の発送にかかる費用
またページの後半では、リコールで商品回収以外に必要になる様々なコストについても解説します。
このページを読めば、どなたでもリコール発生時にかかるコストを正確に把握することができるようになります。
目次
1. リコールの製品回収にかかる5つのコスト
リコールが発生した際、製品回収に必要となる代表的なコストは以下の6つです。
|
それぞれの費用について、金額の概算も含めて詳しく解説していきましょう(表示の金額はあくまでも目安であり、リコールの規模や状況に応じて変動します)。
1-1. 取引企業、店舗への商品回収費用
リコールが起こった際、まずはじめに必要となるコストは取引先からの商品回収にかかる費用です。
リコールで何より優先すべきは取引先への連絡です。状況を正確に報告し、一刻も早く商品の販売中止を依頼する必要があります。合わせて速やかにその商品を回収し、必要に応じて代替品の発送を行わなくてはいけません。
回収にかかるコストは、納品している商品の数や大きさによってもまちまちですが、少数の納品であれば着払いで返品を依頼することになります。着払い送料は荷物の大きさにもよりますが、返品の箱1箱当たり2000円程度(縦、横、高さ合計で160cm程度の箱を想定)は必要になるでしょう。この金額が取引先業者から返送される荷物の数に応じてかかることになります。
着払いの返品発送を依頼する場合の費用目安 返品荷物100個の場合 ¥2,000×100個= ¥200,000 返品荷物1000個の場合 ¥2,000×1000箇所= ¥2,000,000 |
また回収する商品を大量に納品している取引先に対しては、回収のためのトラックを手配することになるでしょう。トラックをチャーターする場合の費用は、取引先の場所や移動距離にもよりますが、一箇所あたり10,000円程度の経費は想定する必要があります。
トラックをチャーターして返品商品を回収する場合の費用目安 取引先業者が100箇所の場合 ¥10,000×100箇所= ¥1000,000 取引先業者が1000箇所の場合 ¥10,000×1000箇所= ¥1,000,000 |
返品回収にかかる費用負担を躊躇することで取引先への対応に遅れが出れば、会社の信用を損なうことにもなりかねません。取引業者に対しては、迅速で誠意ある対応が求められます。
1-2. 購入者への告知のための費用
販売済みの商品については購入者への早急な告知が必要です。
購入者の名前や住所がわかっている場合、ダイレクトメールでリコールの内容を告知し、製品の返品をお願いすることになります。
ダイレクトメール 発送は、印刷コストや発送コストを合わせると1通あたり100円ほどとなります。
ダイレクトメール発送にかかる経費の目安 購入者が1000人いる場合 ¥100×1000= ¥100,000 購入者が5000人いる場合 ¥100×5000= ¥500,000 |
また購入者の住所がわからない場合は、商品が販売された地域にポスティングサービスを利用してリコールの詳細を伝える方法があります。
ポスティングは、告知のためのチラシの印刷で1枚あたりおよそ5円、また配布1枚あたりに3円〜7円程度かかるのが一般的です。印刷、配布を合わせると1枚当たり10円程度の経費がかかることを想定する必要があるでしょう。
ポスティングサービスの利用にかかる経費の目安 購入地域10,000世帯に配布する場合 ¥10×10,000世帯= ¥100,000 購入地域100,000世帯に配布する場合 ¥10×100,000世帯= ¥1,000,000 |
リコールの内容によっては火災や健康被害など深刻な問題を引き起こすケースも少なくないため、できる限り迅速な告知が必要です。
購入者への告知にかかる費用は、購入者数や製品の規模によって異なりますが、この費用を出し惜しみして告知が遅れれば、後々さらに大きな損害となることも考えられます。コストよりも速さを重視し、速やかに告知を行うことをお勧めします。
1-3. 新聞での告知費用
リコールが発生した場合、その内容を速やかに広く一般に告知する必要があります。ホームページなどで告知するだけであれば大きな費用がかかることはありませんが、リコールの告知としては不十分です。通常ではリコール情報を新聞の社会面に「社告」として掲載することになります。
社告掲載にかかる費用 地方新聞 1紙あたり40万円 全国紙 1紙あたり400万円 |
商品が販売されている地域が限定されていれば、その地域の地方紙に掲載するだけで十分ですが、全国規模で販売されている商品の場合は、全国紙への掲載が必要になるため、大きな費用が必要になります。
全国規模で販売されている商品のリコールでは、全国紙主要5紙への掲載となるため2000万円以上の経費がかかることになります。
1-4. 購入者からの返品にかかる費用
リコールの発覚を購入者に伝える場合、あわせて購入者に商品の着払い返送を依頼するのが一般的です。そして返品される商品の数や規模に応じて全ての返品送料を負担することになります。
着払い送料は発送先からの距離によっても異なりますが、1商品当たり1000円程度のコストを想定する必要があるでしょう。
購入者からの返品発送にかかる経費の目安 購入者が1000人いる場合 ¥1,000×1000= ¥1,000,000 購入者が5000人いる場合 ¥1,000×5000= ¥5,000,000 |
返品された商品の受付や管理のためにスタッフを増員するなどの対応が必要になる場合、別途人件費などが必要となるケースも考慮に入れておく必要があります。
1-5. 回収した製品の廃棄費用
リコールの商品はもちろん一般ごみとして廃棄することはできません。回収済み商品を廃棄するための費用が必要になります。
廃棄は在庫品を廃棄する場合と同様、業者に依頼し事業系ごみ、または産業廃棄物として処理することになります。産業廃棄物業者へ依頼する場合の1㎥あたり30,000円程度のコストがかかるのが一般的です。
もちろん廃棄まで一時保管をするための倉庫の代金も必要です。廃棄が遅れれば遅れるほどコストがかさむことになりますので、できるだけ速やかな廃棄が求められます。
1-6. 購入代金の返金、代替品の発送にかかる費用
購入者からの返品が到着した後には、速やかに商品代金の返金、あるいは代替品の発送処理を行います。
返金の場合は購入代金+指定口座への振込手数料、代替品発送の場合は代替品の原価+送料がそれぞれの購入者に対して必要になります。
振込手数料は、他行宛ての振込であれば300円程度かかります。一件当たりの金額は少額ですが、到着した返品が多ければ合計はかなりの金額になるということも考慮しておくべきでしょう。
代金返金にかかる振込手数料合計の目安 購入者からの返品が1000件の場合 ¥300×1000= ¥300,000 購入者からの返品が5000件の場合 ¥300×5000= ¥1,500,000 |
また代替品を発送する場合はあらたに発送のための送料がかかることになります。送料には返品の着払い料金と同様に、一件当たり1000円程度の経費を想定しておく必要があるでしょう。
代替品発送にかかる経費の目安 購入者が1000人いる場合 ¥1,000×1000= ¥1,000,000 購入者が5000人いる場合 ¥1,000×5000= ¥5,000,000 |
返金や代替品発送は、購入者へ誠意を示す上でもより迅速な対応が欠かせません。事務手続き業務の増大によって対応に遅れが出ないよう、対応スタッフを増員するなどの措置も必要になります。
2. 知っておきたいリコール回収後にかかる可能性が高い3つのコスト
リコールでは商品回収にかかるコストとは別に、様々な費用負担が発生します。
代表的な3つの費用を紹介しましょう。
|
ではひとつずつ解説していきましょう。
2-1. 再発防止のための費用
リコールが発生した場合、原因調査、再発防止には別途予算を計上し、入念な対策を行わなければいけません。
例えば食品工場で異物が混入したことによるリコールであれば、どの工程で異物が混入したかを確認し、二度と同じ事故が起こらない体制を構築する必要があります。
もちろん工場の改修や製造機器の更新が必要な場合には、改善のために莫大な設備投資費用が必要になるケースもあります。
失った消費者の信頼を取り戻すためにも、徹底した対応が求められます。
2-2. クレーム対応費用
消費者からの問い合わせやクレームが殺到した場合、専用回線を用意しクレーム対応のためのコールセンターを設置するなどの費用が必要になり場合があります。
消費者に対する不誠実な対応が、マスコミやSNSなどにリークされることによって炎上し、莫大な数のクレームが殺到するというケースも珍しくありません。
クレーム対応は初動を誤ると会社に対して大変な損害をもたらす可能性もあるということを踏まえ、入念な準備を行うべきでしょう。
「ペヤングソース焼きそば」虫混入事件 2014年にペヤングソース焼きそばへの虫混入が発覚した群馬県伊勢崎市の食品メーカー、まるか食品のリコールのケースでは、初動での消費者対応を誤ったことによってSNS上で大きな批判を浴び、その後マスコミにも取り上げられるなど、社会問題にまで発展しました。 まるか食品はその後、製造ラインを一新し六ヶ月後に販売を再開しましたが、再開までにかかった損失は数十億に及びました。マルカ食品はリコール保険にも未加入であったことも影響し、その年の最終利益は前期比4割の大幅減となるなど、大変大きな損害を被る事態となりました。 |
2-3. 訴訟・損害賠償費用
リコールした商品によって健康被害や事故が発生した場合、訴訟に発展するケースも珍しくありません。この場合、訴訟経費だけでなく損害を賠償するための費用も発生することになります。
もちろんリコール発生時の初動が遅れ被害が大きくなれば、それに応じて訴訟費用、賠償金は膨れ上がります。また訴訟に発展するケースでは、実際に支払う訴訟費用や賠償費用だけでなく、社会的信用を失うことによる売り上げの低下など、後の企業運営に大きな遺恨を残す状況になることも十分に考えられます。
リコール対応では、訴訟に発展する可能性を下げるという意味でも、迅速かつ誠実な対応を心がけることが大切です。
三菱自動車 リコール隠し問題 2004年に三菱自動車が製造するトラックやバスなど、大型自動車のハブ破損による死亡事故が相次いだことから、リコールすべき不具合を認識していながら隠していたことが判明。三菱自動車がリコール隠しを行なっていたことが大きくマスコミに取り上げられました。 リコール発覚時点で速やかに対応していれば、多くの死亡事故を防ぐことができた事案であったため、企業倫理を問う大きな社会問題として報道されました。 企業イメージを大きく失墜させた三菱自動車はその後、販売台数の大幅低下によって二つの国内工場を閉鎖するなど、多大な損害を被ることになりました。 |
3. 最優先事項は消費者へ早く正しい情報を伝えること!
リコールが発生した際に最も大切なことは、商品を購入したお客様に対してできるだけ迅速に、正確な情報を伝えることです。
情報の告知が遅れれば遅れるほどリコールの被害は広がり、損害の規模は大きくなります。初動で告知のために必要なコストを出し渋ることによって被害が拡大すれば、結果的にリコールによる損害は拡大します。
また損害を恐れて会社にとって都合の悪い情報を隠蔽し、消費者に正確な情報を伝えることができなければ、会社は社会的信用を失い、将来にわたって会社に対して大きな損害を与えることにもなりかねません。
リコールにかかる損害や費用は、将来的に会社の信用を維持し消費者への安心をあたえるための必要経費と考え、できる限り誠意ある対応を取ることが最も大切です。
ポスティングサービスを活用して消費者へ迅速な告知! リコールが発生した場合、商品の購入者に対して迅速に詳細を伝える必要がありますが、これは簡単なことではありません。一部の家電製品や通信販売の商品など、購入者の住所を把握しているケースであれば情報の告知は簡単ですが、そういったリストを持ち合わせているケースもなかなかありません。 その場合に最適な方法は、販売地域に直接情報を届けることができるポスティングサービスの活用です。しかし地域の全世帯に漏れなくチラシを配ることは容易なことではありません。 しかし、弊社DEALなら、このようなポスティングに速やかに対応することができます。 なぜならDEALには以下のような特徴があるからです。
一般的なポスティング会社は配布地域が限られ、特定の地域にしかちらしを配布することができませんが、DEALでは日本全国あらゆる場所で、全世帯に配布する質の高いポスティングを実現します。 一刻を争うリコールの対応でお悩みがあれば、確実で高品質なポスティングサービスを提供するDEALにご相談ください。 |
まとめ
いかがだったでしょうか。
最後に、このページの内容を簡単に振り返っておきましょう。
実際にリコールが発生した場合、商品の回収に必要となる代表的なコストは以下の6つの費用です。
- 取引企業、店舗への商品回収費用
- 購入者への告知のための費用
- 新聞での告知費用
- 購入者からの返品にかかる費用
- 回収した製品の廃棄費用
- 購入代金の返金、または代替品の発送にかかる費用
またリコール では、商品回収にかかるコスト以外にも、様々なコストが必要となるケースがあります。
このページでは以下の3つの費用を紹介しました。
- クレーム対応費用
- 再発防止のための費用
- 訴訟費用
リコールが発生した場合には、商品を購入した消費者や取引先企業に対して、正確な情報を伝えることが何より大切です。そして損害の規模を抑え、会社の信頼を損なわないためにも、迅速な対応が重要であるという点を決して忘れてはいけません。
この記事がリコールのコストを試算する際の一助となることができれば幸いです。