「広報誌の原稿を頼まれたけど、どんな風に書けばいいの? 決まりやルールはあるのかな?」
広報誌原稿を書こうとした時、作文とも違うし、SNSに綴る文章みたいになってはいけないだろうし…と、悩まれる方は多いと思います。
そんな方々に、本記事では「広報誌原稿における4つの鉄則」を伝授します!
広報誌原稿には「こうでなければダメ」という決まりはないのですが、ただ自由に書くと広報誌に相応しくない記事になってしまう恐れがあります。
4つの鉄則に従って書けば、そんな失敗を回避でき、多くの人に喜んで読まれる記事が書けます。
また、原稿の雰囲気を具体的にイメージして頂くために、4つの紙面別の書き方をわかりやすく解説します!
- 「ご挨拶」
- 活動報告や催し物などの「記事」
- 「インタビュー記事」
- 「編集後記」
すべて文例を挙げていきますので、それらを応用すれば、どの紙面の原稿もすぐに書き始めることができるでしょう。
それでもご心配な方のために、原稿提出前にチェックすべき要素を詳しい解説つきでお伝えします。
- 誤字脱字はないか?
- 語尾は統一されているか?
- 主語と述語はつながっているか?
- 二重表現はないか?
- 統一表記になっているか?
- 漢字ばかりになっていないか?
- 差別的な表現が含まれていないか?
この7点をしっかりチェックすれば、広報誌として読みやすく、恥ずかしくない原稿になることは間違いありません。
面白く読んでもらえて、たくさんの共感を得られる原稿執筆に、ぜひこの記事を役立てて頂けたらと思います。
1. 広報誌の原稿を書く上で守るべき4つの鉄則
まず最初に、広報誌原稿における以下の4つの鉄則を解説します。
- 客観的な視点で書く
- 敬語の使い方に気をつける
- 見出しで気をつける
- わかりやすく書くことを心掛ける
この4つの鉄則を守って書けば、広報誌原稿に相応しく、多くの人に喜んで読まれる記事が書けます。
原稿に取りかかる前にしっかり把握しておきましょう!
1-1. 客観的な視点で書く
広報誌の原稿は、特に個人の感想を求められた記事以外は、客観的な視点で書くのが鉄則です。
主観的な書き方で私見が入ってしまうと説得力が低下し、共感が得られにくくなります。
客観的な視点とは、「特定の立場にとらわれず、物事を見たり考えたりするさま」、簡単にいうと「誰にとってもそうである」ことです。
対して、主観的な視点は、「(書く人)個人の意見や主張で物事を見たり判断するさま」です。簡単にいうと「書く人が個人的に思っている」ことになります。
たとえば以下の例をご覧ください。
A.主観的な視点の書き方 |
B.客観的な視点の書き方 |
運動会といえば、みんなが楽しみにしているのが、父兄も参加する綱引きですよね。 |
運動会について児童100人にとったアンケートで、1番人気だった競技が父兄参加による綱引きだったそうです。 |
Aの書き方では個人的な見解だと思われて、「そうかなあ。うちの子はかけっこを楽しみにしてると思うけど」などと読み手が反発を覚えたり、共感を得られない可能性があります。
Bのように、何らかの根拠を示した客観的な視点の書き方であれば、読み手の納得が得られます。
もう一つ別の例を見てみましょう。
A.主観的な視点の書き方 |
B.客観的な視点の書き方 |
花粉症対策として、マスクはもちろんですが、鼻の中にワセリンを塗るのもいいと思います。 |
花粉症対策として、マスクと同等の効果が得られるのが、鼻の中にワセリンを塗ることです。 |
ワセリンの花粉症防止効果は専門医も認めている事実ですが、Aの主観的な書き方では自分が思っているだけの信憑性のない意見だと受け取られかねません。
広報誌の原稿で事実を記載するときは、Bのように「です」、あるいは「だ」と言い切る客観的な視点での書き方をしましょう。
また、事実から何かを推測する場合は、「思います」といった能動態を避け、「思われます」「考えられます」という表現を使うと良いでしょう。
1-2. 敬語(敬称)の使い方に気をつける
広報誌の原稿では、敬語、敬称の使い方に注意を払う必要があります。
常識の範ちゅうで、身内(自社の人間、グループメンバーなど)には敬語や敬称を使わず、そうでない人には用いればいいのですが、使い過ぎることで失礼になることもあるのです。
以下に述べる2点を覚えておきましょう。
①敬称を重ねない
敬称を重ねて使うのは間違いで、丁寧に表したつもりが相手に失礼になってしまいます。
たとえば、PTA広報誌などでよく使われる「校長先生」という言葉は違和感がないでしょうか。
自治体の広報誌原稿で、「県知事さんが」と書くのはいかがですか?
これは2つとも、原稿用としては間違った敬称のつけ方になります。
職場の上司のことを文章に書くときに、「部長さん」「課長さん」とは書きませんよね?
同じことです。広報誌の原稿なら、「校長先生」ではなく「校長」、「県知事さん」ではなく「県知事」が正しい使い方です。
また、列挙すべき人が沢山いる場合は、名前を連ねて最後に(敬称略)とつけるようにしましょう。
②敬語をダブル・トリプルで使わない
敬語も敬称と同じで重ねて使うと間違った言葉になります。
たとえば、「おっしゃられました」という言葉は案外よく使われますが、間違いです。
これは、「言う」「話す」の尊敬語である「おっしゃる」に、尊敬をあらわす助動詞の「れる」、そして丁寧語の「ました」をつけたダブル、トリプルになった過剰な敬語です。
敬語を使うなら、「おっしゃいました」、「話されました」と書くのが正解になります。
敬語や敬称の使い方はその団体によって身内とみなすラインがそれぞれ微妙に違うことから、断定はできません。
表現に迷ってしまった時は、これまで書かれた記事を前例として参考にすると良いでしょう。
1-3. 見出しで惹きつける
広報誌の原稿では、魅力的な見出しをつけるのが鉄則です。
読みたくなるような見出しをつけることで、記事に読者を惹きつけることができます。
具体的には以下の5つの中のひとつ、あるいは幾つかを組み合わせると「読みたくなる見出し」がつけられます。
【パワーワード(絶対、必見、圧倒的、秘策、究極の、など)を使う】
例)必見!〇〇小の保護者に読んでもらいたい記事5選/効きすぎる!ウィルス対策に役立つ3つの秘策
【役立つ情報があると期待させる】
例)絶対役立つ!案外知らないスマホアプリ4選/GWの旅行はここ!今から間に合う穴場スポット
【数字を含めて印象づける】
例)プロのあの味が3分で作れる驚きの調理法/希望校進学率94%の学習塾が行っているあの勉強法
【答えたくなる問いかけを見出しに含める】
例)その腰痛が治ったらどこに行く?/〇月〇日婚活パーティ!素敵なパートナーが欲しくない?
【擬音語や擬態語で想像力を刺激する】
例)最高!じゅわっと肉汁溢れるステーキが自慢/目覚めスッキリ!朝スカッと頭が冴える睡眠法
どんなに面白い原稿でも、読んでもらわないことには話になりません。
記事に誘導できるような、惹きつける見出しを工夫しましょう。
広報誌の見出しについて詳しく知りたい方は、こちらの記事に詳しくまとめていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
惹き付ける見出しをつけたい方におすすめ
1-4. わかりやすく書くことを心掛ける
広報誌の原稿は、わかりやすく書くことを心掛けましょう。
専門家向けの論文ではないですから、大勢の人に読んで理解されなければ書く意味がありません。
原稿をわかりやすく書くためには、以下の4つに留意しましょう。
【ダラダラと長い文章を書かない】
一文がダラダラ長く続いてしまうと、内容がわかり辛くなります。句読点や接続詞も、多用すると言いたいことがかえってボヤけてしまいます。文章はなるべく簡潔に書くようにしてください。
【必要以上に詳しい説明をしない】
いらないことまで説明すると、原稿全体がわかりづらい印象を与えます。なんでもいちいち詳しく書けばいいということはありません。読み手の多くが興味のないような詳細な説明は省きましょう。
【専門用語をなるべく使わない】
難解な専門用語は避け、誰でもわかるやさしい言葉を使うことを心掛けましょう。広報誌原稿は知識をひけらかす場所ではありません。どうしても専門用語が必要な場合は注釈をつけるようにしてください。
【感嘆符を多用しない】
感嘆符の「!」は有効な箇所に1つか、2つ程の使用に留めましょう。多用すると文章のリズムを滞らせます。連続して使用すると内容が入って来づらくなり、記事全体が幼稚な印象になります。
いかがでしょう。
さらに具体的なわかりやすい文章の書き方については、次章で紙面別に解説していきますので、合わせて参考にしてくださいね。
2. 【紙面別】原稿の書き方を文例入りで解説
4つの鉄則はしっかり把握できたでしょうか。
ここではさらに具体的に、以下の4つの紙面ごとの書き方を解説します。
- 「ご挨拶」
- 活動報告や催し物などの「記事」
- 「インタビュー記事」
- 「編集後記」
文例や事例を挙げてわかりやすく説明しますので、あなたの書く原稿にぜひ反映させて頂けたらと思います。
2-1. 「ご挨拶」原稿の書き方
まず最初に、広報誌に載せる「ご挨拶」原稿の書き方を具体的な例文を挙げて説明します。
グループの会長や委員長、役員などに新しく就任した際、広報誌に挨拶文を書くことがあります。
また、広報誌が新刊だったり、タイトルを変えて新たに発刊する場合は、新編集長が巻頭の「ご挨拶」を載せることがほとんどです。
ご挨拶の書き方に「こうでなければならない」という決まりはないのですが、悩んだときには以下のような順番で書いていくと良いでしょう。
①はじめの挨拶(時候の挨拶など)
②自己紹介
③抱負(どうしていきたいか)
④積極的な参加や協力のお願い
⑤締めの挨拶
例として、PTA広報誌で委員長就任の際という設定で「ご挨拶文」を作りましたのでご覧ください。
例)【PTA広報誌 委員長就任挨拶文】
①はじめの挨拶 ②自己紹介 ③抱負 ④積極的な参加や協力のお願い また、写真撮影が好き、絵や作文が得意、といった方がいらっしゃいましたら、ぜひ編集部までお申し出頂けたらと思います。一緒に〇〇〇(タイトル)を盛り上げていきましょう。 ⑤締めの挨拶 |
②の自己紹介の所は、就任の経過や発刊するに至った経緯などを書く場合もあります。
また、④や⑤の中に、協力者に対する感謝の言葉を含めても良いでしょう。
文字数や形式もそれぞれ違うので、必ずしもこの通りにあてはまるとは限りませんが、挨拶文に悩んだときにはサンプルとして応用してみてください。
もうひとつ、実際の広報誌の挨拶文の事例もご紹介しておきます。
<事例>
出典:静岡市
こちらは、全国広報コンクールの「広報誌」部門で入選2席にランクインした広報しずおか「静岡気分」(2018年1月号)の表紙に記載された市長の新年ご挨拶文です。
就任挨拶ではないので自己紹介はありませんが、今年どうしていきたいかという抱負がわかりやすく綴られていますね。
締めの挨拶でしっかり結ばれているところも、例文と合わせて参考になると思います。
2-2. 活動報告や催し物などの「記事」の書き方
広報誌の中心となる活動報告や催し物などの記事の書き方を解説します。
挨拶と同様決まりはありませんが、惹きつける記事を書くために覚えておくとよいコツが2つあります。
- 5W1Hを意識して書く
- 伝えたいことを最初の方に書く
ひとつずつ説明していきますので、しっかり覚えて活用してくださいね。
5W1Hを意識して書く
広報誌の記事は、とにかくわかりやすいことが重要です。理解しにくい記事は、飽きられて最後まで読んでもらえません。
わかりやすい記事を書くためには、原稿に5W1H(5つのWと1つのH)の要素を含めるようにしましょう。
5W1Hとは6つの要素の頭文字をとったものです。
意味を記した以下の表をご覧ください。
【5W1Hとは…】
いつ |
When |
---|---|
どこで |
Where |
だれが |
Who |
なぜ |
Why |
何を |
What |
どのように |
How |
この6つの要素があると、記事で述べている出来事がどういったものなのか、何についての記事なのかが理解しやすくなります。
例として作成した、同窓会広報誌の記事をご覧ください。
いつ |
2020年3月〇日 |
どこで |
校舎全面建て替えの進む中、思い出の詰まった旧校舎の体育館に、 |
だれが |
バレー部OB・OG総勢40名が集まり、 |
なぜ |
現役部員との親睦を深めるための、 |
何を |
合同練習及び練習試合を行った |
どのように |
懐かしい顧問との再会も果たして… 手に汗握る熱戦を繰り広げ… 珍プレーの連発に笑いの絶えない数時間を過ごし… など |
順番は必ずしもこのままが良いとは限りませんが、6つの要素が含まれているかどうかが重要です。
<事例>
出典:社会福祉法人足立邦栄会 障害者支援施設みずき
こちらは「障害者支援施設みずき」が発行する広報誌「サンライズ(令和元年5月号)」の記事です。
Why(なぜ)の部分は文例のようにわかりやすく書かれてはいませんが、What(何を)、How(どのように)の部分を読めば、おのずと「なぜその外出を行ったのか?」が伝わってくる文章になっています。
あなたの記事には5W1Hが含まれているでしょうか?
原稿を書き終わったら必ずチェックするようにしてください。
伝えたいことを最初の方に書く
伝えたいことを記事のなるべく最初の方、できれば第一段落に書くと読者を惹きつけやすくなります。
最後まで読まなければ主旨がわからない記事は、面白さを感じにくく、途中で読まれなくなることがあります。長い記事の場合は特にそうです。
紙面の限られた新聞の記事では、「最も伝えたい重要なこと」を最初に書き、そのあと「次に重要なこと」、その後に「付随的なこと」を書くスタイルが通例となっています。
記事を最後まで読まなくてもニュースの内容が分かるように工夫されているのです。
たとえば、PTA広報誌の記事を想定した以下の文章をご覧ください。
玉入れも、かけっこも、全学年勝敗をかけて力一杯がんばりました。 |
この文章の中で「最も伝えたい重要なこと」は、『勝ったのが赤組だったこと』です。
「次に重要なこと」は、『生徒たちが大変健闘して盛り上がった熱戦だった』という部分です。
その点を考慮して順番を入れ替えたのが下記の文章になります。
今年の運動会の勝者は赤組でした! |
こちらの方が読みやすくなるのがわかりますよね。
このように、「最も伝えたい重要なこと」=読み手の知りたい情報(事柄)を最初の方に持ってくることで、惹きつける=「最後まで読みたくなる」記事になります。
あなたの記事は伝えたいことを最初に述べているでしょうか。チェックしてみましょう。
2-3. 「インタビュー記事」の書き方
インタビュー記事を書くときに、心に留めておくべき1番のポイントは「そのインタビューを載せることで読み手に何を伝えたいのか」ということです。
この点をしっかり考慮して構成すれば、焦点の絞り方がわかり、不必要な部分も迷わずカットできて、面白い記事を書くことができます。
といっても初めてインタビュー記事を書く方は、どこから手をつければいいのか…と悩まれる場合もあるかと思いますので、この項では、インタビュー記事の代表的な3つのパターンについて解説します。
インタビュー記事には3つのパターンがあります。
- 対談のパターン
- 一人称で書くパターン
- 三人称で書くパターン
1つずつ「書き方」と「記事例」、そして「どんなインタビュー記事にオススメか」を説明しますので、それぞれしっかり把握していきましょう。
対談のパターン
対談のパターンとは、取材した状況をそのまま切り取り、インタビュアー(書き手)とインタビュイー(取材される人)の2人の会話を文字に起こす形のことです。
インタビュイーが複数いる場合は、座談会のような形式になります。
<書き方>
①インタビュイーへの取材をテープに録ったり、メモに書いたりします。
②基本的に会話通りに記事に書き起こしていきます。
- そのまま全て記事にするわけではありませんが、会話形式で記事にするので、抜き出した部分は基本的にあまり手を加えず、くだけた文体や口語体が交ざっていてもそのままにした方が良いです。
- 文体は取材のときのまま、インタビュアーの言葉は「です・ます調」がほとんどです。
<こんなインタビュー記事にオススメ>
肩の凝らない、自然な流れで読ませたいインタビュー記事にオススメです。
会話のままが記事になるので、読者も自然な流れで読むことができます。
<対談パターンの例>
〜子育てにおいてマイルールがあるそうですね? 〜それは? 〜なんだか楽しそうにおっしゃいますね |
一人称で書くパターン
一人称パターンとは、インタビュイー(取材される人)が自分で語っているように書く形です。
書き手はその人になりきって記事を書かねばならないので、インタビュイーの考え方や、使うであろう言葉、思いをしっかり理解していなければなりません。
<書き方>
①インタビュイーへの取材をテープに録ったり、メモに書いたりします。一人称パターンでは、人となりをよく知るために、取材以外の雑談や、興味のある質問など、多めにしておくと記事に役立ちます。
②インタビュイーになりきって、彼(彼女)の言葉を元に、時には使うであろう言葉を加えたりしながら記事を書きます。
- 一人称パターンは1人の語り言葉で書くので、文章が長くなりがちです。読者にわかりづらい印象を与えないように、小見出しをつけるようにしましょう。
- 文体は、原則「です・ます」調で書きます。
<こんなインタビュー記事にオススメ>
インタビュイーのメッセージを強く推したい(ご紹介したい)インタビュー記事にオススメです。
彼(彼女)が書いたコラムのような記事になるので、本人の人間性や思いがより強く伝わります。
<一人称パターンの例>
【小見出し】子育てのマイルール 【小見出し】ちょっと適当が私流 |
<事例>
出典:国土交通省
こちらは国土交通省の広報誌「国土交通(NO.106)」のインタビュー記事です。
一人称なので語り部分が長いですが、黄色で小見出しをつけて読みやすくする工夫がされています。
太字のリード文がつけられているのも良い見本です。「何を伝えるインタビューなのか」が最初にわかって読者を惹きつけます。
三人称で書くパターン
三人称パターンは、インタビュアー(書き手)の言葉で会話をまとめていく書き方です。
インタビュイーとの会話以外の情報も書き加えて記事にします。
<書き方>
①テープに録った会話やメモにとった内容を元に、書き手自身の言葉で記事に起こしていきます。
・インタビュイーが話している時の様子も控えておくと記事に役立ちます。
②記事の中に、インタビュイーの表情や仕草など、会話以外の情報も書き加えます。
・文体は、「だ・である」調で書かれることが多いです。
<こんなインタビュー記事にオススメ>
取材した記事の内容を、しっかり論理立てて伝えたい記事にオススメです。
書き手が咀嚼し、理解して記事をまとめるので、主張のある記事になることが多く、他の2つのパターンに比べると少しかたい印象の原稿になります。
<三人称パターンの例>
最近ではモデル活動に加え、化粧品ブランドのプロデュースも手がけ、寝る間もない忙しい日々を送っている〇〇。 |
いかがでしょう。
最初に述べましたように、「そのインタビューを載せることで読み手に何を伝えたいのか」ということを念頭に置いて、それを伝えるのに1番いいパターンを選ぶようにしてくださいね。
2-4. 「編集後記」の書き方
編集後記は、いわゆる「あとがき」だと思っておけば間違いないです。
編集を終えての感想や、取材や編集時に感じたこと(裏話)、発刊に際してお世話になった方へのお礼などを書くのが一般的です。
決めごとはありませんが、書き方に迷ったときは、以下のような構成にすると書きやすいです。
①編集を終えての挨拶
②取材や編集の中で感じたこと
③結びの言葉
それぞれの文例をご紹介しましょう。
①〜③を組み合わせれば編集後記として成立しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
※②の項目は、PTA、自治体、企業、自治体の4つの業界別の文例にしています。
①【編集を終えての挨拶】
|
②【取材や編集の中で感じたこと】
~PTA広報紙の事例~ ~企業広報紙の事例~ ~自治体広報紙の事例~ ~クリニック広報紙の事例~ |
③【結びの言葉】
|
<事例>
こちらは石川県喘息友の会広報誌「わかば(2017年11月号)」の編集後記です。
最初とその次の段落が文例の①にあたります。団体の特徴もあって、時節的に気をつけるべき事柄に行数が割かれていますね。三段落目が文例の②、最後の段落が③と考えるとわかりやすいと思います。
いかがでしょう。
編集後記は、広報誌の締めくくりです。
文章の上手い下手よりも、書き手の思いや気づきが読者に素直に伝わることが重要になります。
それがしっかりと伝われば次号につながっていきますので、なるべく自分らしい言葉で書き綴るようにしてください。
3. ちょっと待って!原稿提出前にチェックすべき7要素
ここまで読んでこられたあなたは、スムーズに原稿を書けると思いますが、多くの人の目に触れる広報誌ですから、最後に以下の点をチェックして校正するようにしましょう。
※校正:印刷物の文字や文章に誤りや不適切な表現がないかをチェックし、ミスがあった場合は修正すること
- 誤字脱字はないか?
- 語尾は統一されているか?
- 主語と述語はつながっているか?
- 二重表現はないか?
- 統一表記になっているか?
- 漢字ばかりになっていないか?
- 差別的な表現が含まれていないか?
この7点をクリアすれば、あなたの原稿への「広報誌に相応しくないのでは?」という懸念はほぼなくなります。
しっかり覚えて、必ず確認するようにしてくださいね。
3-1. 誤字脱字はないか?
書き終えた原稿に誤字脱字がないかを、まず一番にチェックしてください。
PC等の機器で原稿を書いた場合、おかしな漢字変換をされていることが多々あります。
人の名前を間違ってしまうと失礼にあたりますし、漢字以外でも、日時や連絡先にミスがあるとイベントなど催し物開催に支障をきたし、後々責任問題にもなりかねません。
誤字脱字をなくすため、以下の7点に留意して間違いがないかをチェックしましょう。
- 漢字
- 送り仮名
- 人の名前
- 住所
- 連絡先番号
- 日時
- 価格
また、「出れない」「見れない」など、「ら」を抜いた表現は文章表記としてはミスと見なされるので避けるようにしましょう。
3-2. 語尾は統一されているか?
語尾が統一されているかどうかを確認しましょう。
「です」調と、「〜だ」「〜である」調が混在していると、文章のリズムが崩れて読みにくくなります。
例として、以下の2つの文章を読み比べてみてください。
なんと若い方を中心に総勢42名のOB・0Gが〇〇高校体育館に集まるという企画だ。 |
なんと若い方を中心に総勢42名のOB・0Gが〇〇高校体育館に集まるという企画です。 |
上の「です」調と「〜だ」「〜である」調が混在している文章より、下の語尾が統一された文章の方が違和感がありませんよね。
語尾が統一されていない記事は読みにくいだけでなく、記事としてつたない印象を与えてしまうので気をつけましょう。
3-3. 主語と述語はつながっているか?
原稿を読み直して、主語と述語がつながっているかどうかを確かめましょう。
主語と述語がつながっていないと、日本語としておかしな文章になり、意味がわかりづらくなります。
例として以下の文章を読んでみてください。
今日の予定は、図書館で借りた本を返してから、夏休み中の姪を映画に連れて行きます。 |
何となく違和感を感じますよね。
この文章の主語は「今日の予定は」です。そして述語は「連れて行きます」になりますが、「今日の予定は、連れて行きます」では文章としてつながりません。
主語と述語がつなっている文章にするためには、述語を「連れて行くことです」に変えるか、「私は今日、図書館で借りた本を返してから、夏休み中の姪を映画に連れて行きます」とするなど、文章の構成を変える必要があります。
主語と述語がつながっていない文章はわかりづらい上に、執筆に慣れていない印象を与えてしまいますので、注意しましょう。
3-4. 二重表現で回りくどくなってないか?
文章が二重表現で回りくどくなっていないかをチェックしましょう。
二重表現とは、同じ意味の言葉を1つの文章に重ねて使った表現のことです。
例を挙げてみましょう。
- 引き続き継続しておこないます。
- 約20名くらいが参加しました。
- 今回は新しい新卒が加わり、
- 歯痛が痛くて、
いかがでしょう。特に上の2つなど、ついうっかり使ってしまいそうですよね。
二重表現は回りくどく、読みにくい印象を与えるので、しっかりチェックして避けるようにしましょう。
3-5. 統一表記になっているか?
原稿中の表記が統一されているかどうかを確認しましょう。
バラバラの表記は読みづらく、記事として整っていない印象を与えます。
たとえば、数字の表記はどうなっているでしょうか?
漢数字(一、二、三…)と、算用数字(1.2.3.…)が混ざっていたら、どちらかに統一してください。
一般的には、縦書きの原稿なら漢数字、横書きでは算用数字が使われます。
数字以外でも、同じものに対してバラバラの表記は避けた方が良いです。
同じデパートに対して、「デパート」と書いたり「百貨店」と書いたりしていないでしょうか。
「おすすめ」と「オススメ」、「パソコン」と「PC」、「薬局」と「ドラッグストア」等々、ふた通り以上の表記をしていたら1つに統一してください。
同じことを複数の言葉で表記すると、煩雑になるので注意しましょう。
3-6. 漢字ばかりで難解な印象になっていないか?
記事原稿というと、漢字にできるところは全て漢字で書いた方が良いと思いがちですが、実はそうではありません。
読む立場で考えるとわかりやすいと思いますが、漢字ばかりの文章は大変読みにくいものです。
パッと見て漢字ばかりが目に飛び込んでくると、読む気が削がれてしまうこともあります。
一般に下の表のような言葉は漢字より「かな」の方が読みやすいといわれています。
チェックの際の参考にしてください。
ありがとうございます(有り難う御座います) |
すなわち(即ち) |
あるいは(或いは) |
おおよそ(凡そ) |
どこ(何処) |
なぜ(何故) |
できる(出来る) |
さらに(更に) |
こと(事) |
〜のよう(〜の様) |
ため(為) |
いわく(曰く) |
まで(迄) |
など(等) |
広報誌は学術論文ではありません。
多くの人にわかりやすく読んでもらうために、漢字で難解な印象を与えていないかをチェックし、バランス良く「かな」を交えるようにしましょう。
3-7. 差別的な表現が含まれていないか?
記事の中に意図せず差別的な表現が含まれていないかをチェックしてください。
たとえば、PTAの広報誌でよく使われる「子供」の「供」という字は、「複数の人間に対して使う蔑称(※)である」という考え方から、「子ども」とかなで表記することが一般的になっています。
※蔑称:蔑んでいう言葉
同じような理由から、「障害」も「障がい」と表記した方が無難です。
他にも、「外人」は身内とよそ者を区別する意識を感じさせるとして、「外国人」と表記されることがほとんどです。
広報誌は広く様々な人の目に触れるものです。
神経質になりすぎる必要はありませんが、差別につながったり、一部の人が不快に感じる可能性のある言葉や表記は控えるようにしましょう。
差別表現についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
「不適切な」日本語表現考|岡本佐智子(北海道文教大学教授)
まとめ
広報誌原稿をただ思ったように自由に書くと、広報誌に相応しくない記事になる恐れがあります。
そのようなことのないよう、原稿は以下の4つの鉄則に沿って書くようにしましょう。
- 客観的な視点で書く
- 敬語の使い方に気をつける
- 見出しで気をつける
- わかりやすく書くことを心掛ける
紙面別の書き方をおさらいすると、巻頭の「ご挨拶」は以下の構成にすると上手くいきます。
①はじめの挨拶(時候の挨拶など)
②自己紹介
③抱負(どうしていきたいか)
④積極的な参加や協力のお願い
⑤締めの挨拶
「活動報告や催し物の記事」を書く時は次の2点に留意しましょう。
- 5W1Hを意識して書く
- 伝えたいことを最初の方に書く
「インタビュー記事」は、「そのインタビューを載せることで読み手に何を伝えたいのか」を念頭において書くと面白い記事になります。
「編集後記」は小説本のあとがきのようなもので、以下のような構成にすると書きやすいです。
①編集を終えての挨拶
②取材や編集の中で感じたこと
③結びの言葉
原稿を書き終えたら必ず読み直し、しっかり校正してから提出すると間違いがありません。
記事を参考に、オリジナリティもありつつ失敗の恐れのない、“読まれる広報誌原稿”に挑戦して頂けたらと思います。