「軒並み配布」とは、最も基本となるポスティング(配布)方法で、物件を指定せずにエリア内全てのポストに配布するポスティング手法です。「ローラー配布」とも呼ばれます。
ただし本当に100%配布できるわけではなく、リーチできるのは70~80%程度です。その分費用対効果が良いため、必ず100%配布しなければならない!というわけでなければ、軒並み配布を利用されることが多いです。
100%配布したい場合は「全世帯配布」という別の配布方法を選ぶ必要があります。
<ポスティング方法の違い>
ポスティング 方法種類 | 軒並み配布 (ローラー配布) | 全世帯配布 (全戸配布) | 選別配布 (物件限定配布) |
---|---|---|---|
概要 | 指定エリア内のあらゆるポストへ、ターゲットを絞らずくまなく配布。リーチできるのはエリアの70~80% | 指定エリア内の全世帯のポストへ100%配布。 | 顧客が指定した条件(戸建てかマンションかなど)に当てはまるポストのみを選別して配布する方法 |
配布単価 | 低い | 高い | 高い |
ポスティングを効果的に利用するためには、配布方法の違い、それぞれのレスポンス(反応率、または反響率。チラシを見てコンタクトを取ってくる率)の違いを知ることが大切です。
ここでは
- 「軒並み配布」とはどういうポスティング方法なのか
- 「軒並み配布」のメリットとデメリット
- 他の配布方法「全世帯配布」「選別配布」との違い
- 「軒並み配布」が向いている業種
について、詳しくお伝えします。
この記事を読むことで「軒並み配布」とは何か、自分の業種に合っているのかを理解することができし、効果的なチラシのポスティングへ繋げられるでしょう。
目次
1.「軒並み配布」は全世帯ではなく70~80%程度にリーチするポスティング手法
軒並み配布とは、最も基本となるポスティング(配布)方法です。ローラー配布とも呼ばれます。
名前の通り、顧客から指定されたエリア内にあるあらゆるポストへ、ターゲットを絞らずくまなく配布します。
例えば店舗、企業や事業所、集合住宅(アパートやマンション等)、一戸建てなど、あらゆる場所が対象となります。チラシを受け取る人がその場所の住民なのか、どこか別の場所から通っている勤め人なのかは不問、年齢や性別も問いません。
ただし「あらゆる」とは言っても、配布を禁止している官舎や寮、一般住宅でも「チラシお断り」の指定がある場合は対象外となります。
このため、エリア内全てのポストに配布することが前提とはいうものの、実際の配布率はエリア内全世帯数の70%程度と一般的に言われています(地域やその他の条件により多少異なります)。
配布方法がシンプルな分、料金は他の配布方法と比較して最もリーズナブル。あらゆる業種・業態で使えます。
エリアの全体的な反応率(反響率)を重視する場合や、配布相手の年齢性別などを問わない業種の場合は特におすすめです。低コストで行えるので、初めてポスティングを利用する場合の試用にもおすすめできます。
2. 軒並み配布と他の配布方法の違い一覧【比較表付き】
ポスティングには「軒並み配布」の他に、「全戸配布」「選別配布」があります。それぞれの違いを表にまとめたものが下記です。
ポスティング 方法種類 | 軒並み配布 (ローラー配布) | 全世帯配布 (全戸配布) | 選別配布 (物件限定配布) |
---|---|---|---|
概要 | 指定エリア内のあらゆるポストへ、ターゲットを絞らずくまなく配布。 | 指定エリア内の全世帯のポストへ100%配布。 | 顧客が指定した条件(戸建てかマンションかなど)に当てはまるポストのみを選別して配布する方法 |
配布枚数 | そのエリアの70~80% | そのエリアの100% | 自由に絞り込める |
配布単価 |
低い |
高い |
高い |
メリット | 低予算で幅広い層、多数の人に広告を配布できる | かならず全世帯に届けることができる | 物件によって反応率が異なる場合、良い物件を選別することで費用対効果が高くなる |
デメリット | ターゲット以外のポストにも配布する可能性があり無駄が出る | 費用が高い、時間がかかる | 費用が高い、時間がかかる |
反応率 | △ | △ | 〇 |
向いている業種 | エリアの全体的な反応率(反響率)を重視する場合や、配布相手の年齢性別などを問わない業種 | 必ず全世帯に案内を配布しなければならない公的機関など | 反応率の良い物件があらかじめわかっている業種(戸建て用リフォーム、マンション用売買など) |
向いている業種の例 | 飲食店、宅配クリーニング、ケータリング、コンビニ、スーパー、美容室・理容室、スポーツジム、レジャー施設、保険など | 市町村自治体、公的団体など | ・戸建て指定の場合:戸建て用リフォーム、戸建て用不動産、介護など ・マンション指定:不動産、通信回線など |
それぞれの配布方法について簡単に説明します。
2-1. 「全戸配布」
「全戸配布」は文字通り「全世帯100%への配布」を目的としています。
言葉の意味が似通っているので「軒並み配布」と混同されやすいのですが、全く別の方法です。
「全戸配布」では、住宅地図を使用して一軒一軒配り歩きます。利用目的は「必ず全世帯に配布しなければならないもの」、例えば自治体広報紙など、公的なもの・行政関係のものが主体となります。
2-2. 「選別配布」
「選別配布」は文字通り「チラシを受け取る相手を選別した配布」です。
「エリア内のどのポストに配布するか、顧客の指定に従って、配布スタッフが視認で選別しながら配布する方法」がこれにあたります。
例えば、戸建て住宅の外壁塗装やリフォームを請け負う会社のチラシを撒く際、マンションやアパートにポスティングしても意味が無いのは明白でしょう。この場合は、依頼されたポスティング会社のスタッフは、ターゲットである戸建て住宅のみを視認してポスティングしていきます。
「選別配布」には「スタッフの視認に頼る方法」の他に「GISを利用する方法」があります。
これはGISという地理情報システムを利用し、最も配布に適したエリアがどこかを分析して、あらかじめターゲットが多く住む地域を絞り込み、その最適化されたエリアに集中して配布する方法です。
「選別配布」はターゲットを絞り込む分、チラシの無駄を減らせます。また、レスポンスは「軒並み配布」よりも期待できると言われています。
3.「軒並み配布」のメリット・デメリット
「軒並み配布」を利用する場合のメリットとデメリットについて述べていきます。
3-1. 「軒並み配布」の3つのメリット
①料金が安い
「軒並み配布」最大のメリットは「安さ」です。
「軒並み配布」は、配布エリアと配布枚数以外には細かい取り決めが無く、手間や時間がかかりません。そのため多くの人へ、最低限のコストで配布でき、情報を周知させることが可能です。
②多くの人に情報を周知できる
「軒並み配布」は、同じ価格ならば、最も多くの人に配れるポスティング方法です。
コストが低いため、少ない予算で大量のチラシを、広いエリアに配布することができます。
多くの人に見てもらえれば、それだけレスポンスが上がることが期待できるため、広告効果が上がります。
特に、ユーザーを特定しない、幅広いニーズのある業種の場合は大きな効果が見込めます。
③ポスティング初心者のお試しとして使いやすい
「ポスティングってどの程度レスポンスがあるのかな?」
「ポスティングを使ってみたいけれど、費用対効果がわからない」
このように、ポスティングを今まで使ったことがない初心者の方に「軒並み配布」は特におすすめです。
利用料金が安く済むため、試しやすいのはもちろんですが、指定するのは「自分の店の周り半径1km以内」のように「エリアのみ」で、チラシを受け取るターゲットを絞り込む必要がありません。そのため、どのエリア、どの世帯、どんな人から自分の店が求められるのか分からない場合も、リサーチを兼ねて利用しやすいでしょう。
3-2. 「軒並み配布」の2つのデメリット
低予算で幅広い層、多数の人に広告を配布できる「軒並み配布」。
しかし、デメリットもあります。
どのようなデメリットがあるのか、この項目で詳しく見ていきます。
①過大なレスポンスは期待できない
「軒並み配布」のレスポンスは、平均して0.1?0.3%と言われています(食品や日用品などの広告の場合はもう少し高く0.7%程度になるとも言われます)。
1000枚配って、ようやく1枚から3枚、反応があるレベルです。過大なレスポンスは期待できません。
この平均値を大きく超えるレスポンスが欲しい場合は、2-2. 「選別配布」のようにニーズのある対象を絞り込む作業が必要になります。
コストは増えますが、結果的にレスポンスが良くなり費用対効果が高くなる可能性があるので、自社のサービスや商材を求める層がはっきりしている場合は「軒並み配布」以外も試してみる価値があるでしょう。
②ターゲットが大きく外れることがある
「明らかにターゲットが限定されている」のに、それを加味せず「軒並み配布」した場合は、レスポンスが平均より低くなり、費用対効果も悪くなってしまいます。
例えば子供向け用品のチラシを、指定エリア内だからと独身の人が住む駅前のワンルームマンションに配っても、チラシが無駄になるのはお分かりでしょう。
このような無駄をなくすためには、ポスティング業者へ依頼する際に「エリア内軒並み配布だけれど、○○(上記の例なら、ワンルームマンション)は省いてほしい」という風に、一定の条件をつけることが必要になります。
ただし、指定条件がつくということは、「軒並み配布」ではなく1章で紹介した「選別配布」になり、付加する条件の数や難易度に伴い料金が上がってしまう場合があります。
依頼する業者によって、どこまでが「軒並み配布」の料金内でできるのかは異なります。
4.「軒並み配布」が向いている業種4つを紹介
「軒並み配布」は、安く大量に広告を配布できます。幅広い業種で一定のレスポンスを得られるので、基本的にはどの業種にも使える方法と言われています。
しかし、2章で見た通り「軒並み配布」が合わない業種もあります。ここでは、特に「軒並み配布」に向いている業種を述べていきます。
4-1. 「軒並み配布」が向いている業種は「人を選ばない」業種
「軒並み配布」は「地域全世帯を対象にしている業種」「世代や性別、家族構成を問わず必要とされるサービスを提供している業種」に向いています。
一戸建てやマンションなどの住居に限らず、企業や店舗も含まれます。
例えば、ビジネス街ではその地域に住んで生活している人は少ないと言えるでしょう。
しかし勤めに来ているだけの人も、食事をしたり、コンビニで必要なものを買ったりしますので、飲食店やコンビニのチラシを企業へポスティングすることは有効と考えられます。
このように「人を選ばない」業種が「軒並み配布」に向いています。
4-2. 「軒並み配布」が向いている主な業種4つ
「軒並み配布」が向いている業種・状況を具体的にいくつか紹介します。
①飲食店
エリア内の住民だけでなく、そのエリアを勤務先としている人も食事は必ず摂ります。そのため飲食に関わるサービスは、個人の朝食・昼食・夕食から、団体での宴会利用など幅広くニーズがあります。
店舗メニューの紹介だけでなく、例えば「テイクアウトできるランチサービスを始めました」というチラシを会社へポスティングすれば、そこで働く人が昼食として買いに来てくれる可能性が高まるでしょう。
このように飲食店は「軒並み配布」が最も適している業種と言えます。
飲食店のポスティングについてしりたい方におすすめ
②デリバリーサービス
デリバリーサービスも、「軒並み配布」に向いています。
飲食店の他、クリーニングや小売商品の宅配など、利用対象は多岐にわたります。
例えば、文房具。一括購入したものを会社まで届けて貰えるサービスがあれば、企業側はわざわざ勤務中や勤務時間外に社員を外出させる必要が無いため、無駄が省けます。
また食事のケータリングは、企業へのランチや会食のためのお届けだけでなく、昨今は独居の老人向けなど対象が広がっています。
出向く必要がなく、居ながらに欲しいものが届けてもらえるデリバリーサービスは、幅広い範囲で必要とされるサービスのため「軒並み配布」が向いています。
③コンビニエンスストアなどの小売店
必要な商品が、欲しい時や思いついた時すぐに手に入るコンビニエンスストアやスーパーマーケットは「軒並み配布」に向いています。
例えば、コンビニエンスストアのある商品が「期間限定で●円引き!」というチラシが入っていたら「今までこの商品は買ったことがないけれど、この機会に買ってみようかな」と思う人は老若男女を問わず多いでしょう。
新商品や新サービスの紹介も、利用する人が多い分、配布されるチラシで告知されると助かる人も多いと考えられます。
このように、日常的に多くの人が使う店やサービスは、「軒並み配布」に向いています。
④美容室・理容室
身だしなみを整えるのに必要なサービスも、食事と同じく地域や世代、性別を問わず日常的に必要です。例えば短時間でヘアカットができるサービスは休憩時間中のサラリーマンでも利用しやすく、一定のニーズがあります。
そのため美容室や理容室のチラシは「軒並み配布」に向いています。
<期間限定のイベントや告知にも軒並み配布は有効!>
業種ではありませんが、「地域のお祭り」など「期間限定のイベント」の周知に「軒並み配布」は非常に向いています。また、どんな業種であっても「新規出店」や「リニューアルオープン」の周知にも、「幅広い層」がターゲットのため「軒並み配布」が最も適しています。
ただし、これらは配布の時期や期間が限定されますので、依頼するポスティング業者には、指定期間内に配布してもらうことが必要です。
そのため単純な「軒並み配布」より料金が高くなる場合があります。
まとめ
この記事では
- 「軒並み配布」とは「顧客から指定されたエリア内にあるあらゆるポストへ、ターゲットを絞らずくまなく配布」する方法である。チラシを撒くのが禁止されているところもあるので、実際の配布率はエリア全体の70%程度である。
- 「軒並み配布」には「安く大量に広告を配布できる」メリットがある。初心者にも使いやすい。一方で、「安いだけにターゲットが絞りきれず、レスポンスは平均値以上は期待できない」というデメリットもある。
- 「軒並み配布」は「地域全世帯を対象にしている業種」「世代や性別、家族構成を問わず必要とされるサービスを提供している業種」に向いている。
以上を述べました。
この記事を読んで「軒並み配布」を賢く使うことで、あなたの提供するサービスが広く周知されることを願います。