「リコールの案内文はどう書けばいいの?」
「言葉ひとつの間違いで炎上したらどうしよう」
これからリコールの案内文を書くにあたり、あなたの心は不安でいっぱいでしょう。
たしかに、リコールはスピードに加えて正確さ、確実性を求められるもの。
あなただけでなく、上司や関係部署もいつも以上に神経質な状態かもしれません。
しかしこの記事を読めば、初めてでも抜け漏れのない「正しい」リコール案内文を書き切ることができるようになります。
以下の流れで、リコール案内文の書き方を詳しく解説していきましょう。
①リコール案内文は事実を正しく伝えるのが重要!
リコールは、製品事故を未然に防ぐことが第一目的。会社の信用を回復するのも、売上の損失を抑えるのも、すべてあなたがこれから書く案内文に託されています。リコールの内容を整理し、何を書くべきかをきちんと押さえましょう。
②「正しい」リコール案内文に入れるべき6つの要素
リコールの案内文に必要なすべての要素を、経済産業省が発行している「消費生活用製品のリコールハンドブック2019(全体版)」を元に、書くべき要素を書くべき順番に沿ってわかりやすく説明していきます。
③【宛先別】リコール案内文の書き方
リコール案内文のケースは2つ考えられます。「消費者が特定されている場合」と、「消費者が不特定の場合」です。前者は「特定の顧客(個人または法人)」に宛ててリコール案内文を書きます。後者は「不特定の顧客と「販売代理店などへの協力依頼」に加え、マスコミ宛てのプレスリリースも必要になります。何をどの順番で書くべきか、要素をおさらいしながら案内文の見本を見ていきましょう。
④リコールや謝罪でしてはいけない3つのこと
リコール案内文をSNS上に発信していなくても炎上が起こる可能性があります。ホームページ、メール、DM、電話、記者会見など、受け手が不満や不信感を抱いた記録をSNSに上げることで、拡散する場合があるのです。「企業や著名人の謝罪」にまつわる過去の炎上事例から、押さえておくべきポイントをご紹介します。
この記事の流れに従えば、あなたは自信を持ってリコール案内文を書ききることができるでしょう。
まずはリコール案内文の大原則から見ていきましょう!
目次
1. リコール案内文は事実を正しく伝えるのが重要!
リコール案内文は、何よりも「事実を正しく伝えること」が大原則です。
企業や担当者の保身のために事実を隠したり、根拠のない推測を公開したりすると、必ず問題が大きくなります。
後に第四章でも詳しくお伝えしますが、事実を正しく伝えなかったことで、ネット上の発信でないものまでSNSで炎上したケースもあるのです。
リコール案内文の作成を任されたあなたは、「事実を正しく伝えること」を何より念頭に入れておいてください。
プレッシャーに感じることもあるかもしれませんが、リコールの案内文は、そもそも書くべき内容が決まっているものです。
第二章以降で、入れるべき要素や相手先別の書き方を紹介しますので、それを元に「事実だけ」を「順序立てて」書いていきましょう。
あなたが決められた内容をその通り書くことは、次のような形で報われます。
①製品事故を未然に防ぐことで、だれかを助けることができる
②会社の売上やブランドの損失を、最低限に食い止めることができる
③迷惑をかけた相手の信用を、もう一度つなぐことができる
それでは、さっそく次の章で「書くべき事実」を6つの要素に分けて見ていきましょう。
2. 「正しい」リコール案内文に入れるべき6つの要素
リコールの案内文に必要なすべての要素を、経済産業省が発行している「消費生活用製品のリコールハンドブック2019(全体版)」を元に、わかりやすく説明していきます。
書く順番も、ここでご紹介する要素の順番通りです。
すでに社内で決定している事項を見て、必要要素が揃っているかについても確認してください。
もしも要素が揃っていない段階で案内文を書くのであれば、社内確認中である旨を添え、取り急ぎながら安全を最優先するために案内文を送るものであることを伝えましょう。
2-1. 【要素1】対象製品の明示
まずはリコール対象製品を明確にします。
- 会社名
- 製品名
- リコールの種類
「〇〇社製の△△製品をどのようにリコールするのか(回収や交換など)」を明記します。
これにより、対象者と関係者に「自分に関係する事柄だ」と認識させ、以下の文を読ませるように働きかけます。
確実に読んでもらうため、必要最低限の事柄だけを書きます。
2-2. 【要素2】危険性、事故の状況およびその原因
端的に、事故の状況と原因を伝えます。
- 生じる危険の種類や性質(欠落、発熱・発火、感電等)
- 事故によって生じうる被害の程度(人体への影響、重大性等)や発生状況、原因
実際に事故が発生したわけではなく、自社の検査過程で危険を発見したものであれば、「危険性」としてその旨を書き添えます。
2-3. 【要素3】消費者にとってほしい対策
事故を防ぐために、消費者に対策行動を依頼します。
- 該当製品かどうかの確認
- 該当製品であった場合の注意
- 点検を要する場合は点検のお願い
- 該当箇所への連絡、製品の返送等
次の事故を未然に防ぐため、特にわかりやすさを重視し、消費者が確実にその行動を取れるように説明します。
この点に関しては、広報担当者であるあなたが「消費者の立場になって」、使用手順をいま一度振り返ることが大切です。
2-4. 【要素4】事業者の対応(リコールの種類)
リコール実施主体であるあなたの会社の、リコール方法と対応を伝えます。
- リコールの種類:本体の引取り(返金)または交換、部品の交換か修理か点検か、等
「回収」というだけではなく、「交換」か「引取り(返金)」か、本体についてか部品についてか、具体的な内容を明確に伝えます。
なお、リコール対象が大型製品で、部品の交換や修理、点検等で消費者宅への訪問が発生する場合は、日程調整が必要な旨についても伝えます。
一般的に、リコール直後は問合せが集中する可能性があるので、訪問日程が先になってしまう可能性も事前に申し添えておくといいでしょう。
2-5. 【要素5】製品の特定方法
消費者の手元にある製品が、今回のリコール対象製品かどうかの特定方法を伝えます。
製造番号など、識別できるものがどこに書いてあるかを、写真やイラストを使ってわかりやすく伝えましょう。
- 名称、型番、シリアル番号(ロット番号)
- 製品の型番及びシリアル番号(ロット番号)がどこに、どのように表示されているか(イラストや写真による説明)
- その他製品を限定する情報(製造又は輸入時期、販売期間、地域性を含む販路等)
ここでも必ず消費者の立場に立って、どこを見るべきなのかを誤解を生まないように注意しましょう。
2-6. 【要素6】連絡先
消費者が確実に連絡の取れる方法を伝えます。
- 会社名
- 連絡先名(返送を依頼する場合は送付先名、住所)
- 電話番号(フリーダイヤルが基本)
- 連絡可能曜日及び時間帯
- その他必要な連絡先または問い合わせ先、方法等(電話番号、ファクス番号、メールアドレス、ホームぺージアドレス)
以上が、必ず入れるべき要素です。
なお、以下の項目については案内文の最後に書き添えます。
- これまでの回収率や経緯
- リコール対応が遅れた場合等の説明も含む
- 行政命令の経過
- お詫び
意外に思うかもしれませんが、お詫びの言葉は最後にきています。
リコールにおいてはまず起きた事実を伝えることで注意喚起し、一刻も早く消費者の安全を図ることが何より大切なのです。
3. 【宛先別】リコール案内文の書き方
リコールを伝えるべき相手には、以下の2つのケースが想定されます。
- 消費者が特定の個人または法人
- 消費者が不特定多数の個人
消費者が特定されている場合、案内文を送る前に、まず電話など最速で連絡が着く手段で相手と連絡をとります。
製品の使用中止などを取り急ぎお願いしてから、経緯やリコール方法の詳細について、それぞれの顧客に宛てたリコール案内文を送ります。
しかし消費者が不特定多数の場合には、以下の三種類のリコール案内文を書く必要があります。
- 消費者向けリコール案内
ホームページのトップに掲載するほか、SNSの公式アカウントで発信したり、直営店や販売代理店の店頭、自治体や保健所など公共施設の掲示板に貼り出します。
- 販売代理店向けリコール協力依頼
販売代理店がある場合、リコールの案内とともに協力依頼をします。これは製品や部品の回収が必要な場合だけでなく、消費者がリコール案内に気づかないまま、販売店に製品の不具合を報告する可能性があるからです。
- マスコミ向けプレスリリース
テレビやラジオ、雑誌など、利用者の多いメディアに対して、リコール内容をまとめて配布し、記事化を求めます。
この他にも、新聞やネット、折込などで広告を出すなどして、消費者の手元にあるすべての製品を回収することを目標に、継続的に案内を続けます。
それでは、経済産業省「消費生活用製品のリコールハンドブック2019(全体版)」のサンプル事例を元に、次項からそれぞれの書き方例をご紹介します。
3-1. 消費者が特定されている場合
顧客名簿がある場合は、その情報を元に相手に直接連絡を取ります。
自社ではなく販売店が顧客名簿を持っている場合でも、情報を共有して自社からリコール案内を送るのが望ましいです。
いずれの場合も「相手の顔が見える」わけですから、使用に対する感謝と不具合についての謝罪を丁寧に伝えることが大切です。
それではまず、消費者が個人の場合のダイレクトメールから、書き方を見てみましょう。
消費者が個人の場合
まずは全文をご一読ください。
宛名とタイトルから順に見ていきましょう。
ビジネス手紙の形式を取り、宛名の後に手紙の簡潔な目的と内容をタイトルにまとめます。
タイトルには必ずリコール対象製品の製品名を明記してください。
次に、本文です。
頭語で始まり、日頃の愛用に対する感謝を述べた後、本文が始まります。
第二章で紹介した要素1~4と6について、簡潔に述べます。
- 【要素1】対象者
- 【要素2】危険性、事故の状況およびその原因
- 【要素3】消費者にとってほしい対策
- 【要素4】事業者の対応(リコールの種類)
- 【要素6】連絡先
必要要素を先に伝えてから、最後にお詫びの言葉と企業姿勢を述べ、結語で閉めます。
そして「記」以下で、改めて各要素を項目立て、わかりやすく伝えていきます。
【要素1】対象製品の明示
顧客の使用中製品についてだけでなく、このリコール案件についての情報をすべて隠さず伝える方が好ましいでしょう。
顧客が後から人づてで「他にもリコール対象製品があった」と知るのは、印象の良いものではありません。
【要素2】危険性、事故の原因およびその原因
時系列に沿うこと、主述の不一致が起こらないことに注意し、端的に説明します。
【要素3】消費者にとって欲しい対策
次の事故を未然に防ぐため、特にわかりやすさを重視し、消費者が確実にその行動を取れるように説明します。
通常使用で掃除機のコンセントを差しっぱなしにしているケースは少ないと想定されますが、それでも改めて「電源プラグをコンセントから抜く」という、初歩的な説明を省きません。
この点に関しては、案内文を書くあなたが「消費者の立場になって」、使用手順をいま一度振り返ることが大切です。
【要素4】事業者の対応(リコールの種類)
このサンプルでは、要素3と要素4の項目をひとつにまとめています。
お願いすることと対応することがそれぞれに多い場合は、別項目にして書いた方がわかりやすくなるでしょう。
【要素5】製品の特定方法
消費者の手元にある製品が、今回のリコール対象製品かどうかの特定方法を伝えます。
顧客名簿でわかっているものであっても、消費者自身で確認のできる方法を掲載しておくことが望ましいです。
製造番号など、識別できるものがどこに書いてあるかを、写真やイラストを使ってわかりやすく伝えましょう。
【要素6】連絡先
文脈から、要素3と4のすぐ後に要素6を持ってきています。
このサンプル事例では回収のためにまず消費者から連絡をしてもらいたいので、この流れになっています。
連絡をもらうことが第一行動でなければ、連絡先は最後で構いません。
電話番号はフリーダイヤルが原則です。
メールや特設webページのアドレスにはQRコードを添えて、打ち間違えや入力の手間をなくしましょう。
消費者が法人の場合
消費者が法人の場合、会社宛ではなく担当者に宛てた形で手紙またはメールを出します。
この場合も、相手が特定できているので、最速で連絡の取れる手段で使用中止などの一次対応を依頼してあることが前提です。
ここでは頭語と結語を「急啓/早々」としました。
後日改めて担当者より対面で謝罪と回収に行く流れに則り、「取り急ぎ」の意味合いを持つ「急啓/早々」を用いましたが、もちろん「拝啓/敬具」でも問題はありません。
法人宛では、担当者と担当者のやり取りになるため、メールでのやり取りになることが多いでしょう。
メールの場合、「記」の内容は添付資料としても構いません。
なお、リコールが決定してすぐに電話などで連絡している場合が多いため、すでに回収の日時についても担当者同士で決められているなら、その日時も記載しておきます。
3-2. 消費者が不特定多数の場合
消費者が多く、顧客情報が把握できない場合、リコール案内は主に3箇所に宛てて発信します。
- 消費者向けリコール案内
ホームページのトップに掲載するほか、SNSの公式アカウントで発信したり、直営店や販売代理店の店頭、自治体や保健所など公共施設の掲示板に貼り出します。
- 販売代理店向けリコール協力依頼
販売代理店がある場合、リコールの案内とともに協力依頼をします。これは製品や部品の回収が必要な場合だけでなく、消費者がリコール案内に気づかないまま、販売店に製品の不具合を報告する可能性があるからです。
- マスコミ向けプレスリリース
テレビやラジオ、雑誌など、利用者の多いメディアに対して、リコール内容をまとめて配布し、記事化を求めます。
またこの場合は製品の購入者と使用者が異なるケースも多いため、リコール案内は一回だけでなく、新聞やネット広告、折込チラシなどを活用し、何度も何度も告知を続けることがあります。
それぞれに宛てたリコール案内文を見ていきましょう。
不特定多数の消費者向けリコール案内
販売先が不特定多数で消費者を特定できない場合、消費者に届くよう、新聞やインターネットの広告を使い、広く注意喚起します。
顔は見えませんが、実際に迷惑と心配をかけ、リコールの手間をかけさせる相手です。丁寧にお詫びとリコールの依頼をすることが大前提になります。
また、再発防止のための今後の企業努力も、具体的に伝えられることが望ましいです。
「記」以下は顧客情報がわかっているものと同じです。
不特定多数向けの場合、考えられるすべてのルートを使って案内をする必要があるため、赤線のような依頼も併せてしておくといいでしょう。
販売代理店向け協力依頼
リコールが決定した時点、または早ければ事故原因が判明した時点で、販売代理店には対象製品の販売を中止してもらうために連絡をしています。
そのため、販売代理店はおおよその事故の経緯や対象製品がリコールになることをすでに知っている状態です。
そのことを踏まえて、リコールの協力を依頼するビジネス手紙を書きます。
宛先は「代理店各位」としていますが、代理店の数が10件ほどであれば、きちんと相手先の名称や部署、担当者の名前など入れる方がより丁寧です。
「記」以下は、不特定多数の顧客向けのものと同じものの添付で問題ありません。
店頭に貼り出す場合もあるので、QRコード付きのものが好ましいのです。
販売代理店は、メーカーよりも消費者に近い立場にあります。
そのため、消費者からの製品の不具合についてのクレームが真っ先に行くところです。
通常よりも手を煩わせてしまうことについて、丁寧に謝罪し協力依頼をします。
また、社内での対応部署が消費者からのものとは異なる場合が多いので、消費者からの連絡先とは別に、担当部署や担当者を明記しておきます。
マスコミ向けプレスリリース
「リコール」であることがすぐに分かる、簡潔なタイトルをつけます。
リコールの規模を伝えることで、マスコミの協力を得られる場合がありますので、大規模な場合にはタイトルに数字を入れるのも効果的です。
マスコミ向けの場合、以下の赤枠部分のように、企業としての今後の対応予定について、詳細を記載しておくのも大切です。
いかがでしたでしょうか。
今回は、経済産業省「消費生活用製品のリコールハンドブック2019(全体版)」のサンプル事例を元に、製品本体の交換ということで
- 消費者が特定の個人または法人
- 消費者が不特定多数の個人
- 不特定多数の消費者向けリコール案内
- 販売代理店向けリコール協力依頼
- マスコミ向けプレスリリース
の5つのリコール案内文を作成し、それぞれに書くべきポイントや注意点をご紹介しました。
この他にも、部品の交換や食品の自主回収など、リコールにはさまざまなケースが想定されます。
『リコール回収 依頼状/依頼メール 文例,例文,書き方』というサイトにも、コピー&ペーストで使える文例が多数掲載されていますので、よろしければそちらもご参照ください。
4. 【炎上事例】リコールや謝罪でやってはいけない3つのこと
「リコール」や「謝罪文」で炎上を起こした過去の事例から、「やってはいけない」ポイントをご紹介します。
- 他者に責任転嫁をすること
- 具体的内容を明かさないまま謝罪すること
- 謝罪文の形式をひねること
企業のブランドイメージを下げ、実際の売上にも悪影響を及ぼすことがある「炎上」ですが、上記のポイントを押さえて適切に対応すれば、基本的に防げるものです。
事例ごとの問題点を理解し、誠意を正しく伝える方法を押さえましょう!
4-1. 他者に責任転嫁をすること
【海外高級自動車メーカーの失敗事例】 海外メーカーの高級自動車が、ある国で立て続けに走行中の火災事故を起こした大規模なリコール事件。人命に関わる大きな事故だったため、刑事事件にまで発展しました。 広報担当者は、最初のタイミングで「自社製品の欠陥ではなく、『ある国』特定の原因があるのかもしれない」と釈明。その発言について「発言に誠意がない」「責任転嫁だ」と批判を浴びますが、それに対してさらに「誤訳だった」と釈明したことで、かえって事態は収拾がつかなくなりました。 |
この事例における問題点は4つ。
- 人命に関わる事件にもかかわらず、他人事として関与していない姿勢。
- 自社製品の再検査等をせずに憶測で回答したこと。
- 憶測の事故原因を他者になすりつけたこと。
- 謝罪ではなく釈明をしたこと。
この場合、本来すべき対策としては
- 自社製品の再検査等を行う。
- 「世間を騒がせていること」に対してお詫びし、自社内で原因を調査中であることを説明。
- 憶測での原因特定をしない。
- 担当者個人の自己防衛のための反論や意見はしない。
これから書くリコール案内文の対象商品の欠陥原因がまだ明らかでない場合は、「原因究明中」である旨を伝え、たとえどんなに可能性が高くても「事実」でないことは書かないようにしましょう。
なお、問題の原因がある特定の従業員による人的ミスであっても、個人に責任があったと公表すべきではありません。
企業として監督や教育、または労働システムや環境の管理に問題があったことを認め、次がないように企業として務める姿勢が健全です。
4-2. 具体的な内容を明かさないまま謝罪すること
【アルバイト店員による個人情報流出に対する謝罪の失敗事例】 あるコンビニエンスストアの店舗で、著名人の来店について、アルバイト従業員が防犯カメラの映像付きでSNS上に上げ、拡散された事件。 コンビニエンスストア本社は迅速に自社ホームページに謝罪文を上げたものの、「該当店舗」や「該当スタッフの処分」「今後策」などが一切書かれていないものだったため、「その場しのぎ」「誠意がない」「防犯カメラ映像の管理のあり方について」など、逆に本社の対応について炎上が起こりました。 |
この事例における問題点は3つ。
- 具体名を挙げないことが隠匿行為に見えること。
- 事故対応や今後の対策がないこと。
- 問題の大きさを正しく捉えているのか不明なこと。
この場合、本来すべき対策としては
- 該当店舗名を公表する。
- 該当スタッフ及び店主への指導や処分について提案し、約束する。
- 防犯カメラ映像の管理原則について明らかにし、徹底を約束する。
店舗名を挙げることで今後の売上や来店した著名人への悪影響を考えたのかもしれませんが、逆に店舗名がわからないことで全店舗へ風評被害が及びます。
そして具体的な内容のない謝罪文は、「口先だけで謝っている」と捉えられ、ブランドの信用を損なってしまいました。
謝罪文における「誠意」とは、謝罪の言葉を流麗に語ることではなく、「被害を大きくしない努力や姿勢」を指すということを、覚えておいてください。
4-3. 謝罪文の形式をひねること
【謝罪文の公開形式による失敗事例その1】 謝罪文の文書ファイルを、文章そのままでなく画像形式で公開したある企業。 文面をコピー&ペーストすることができないため、「拡散を防ごうとしている」と悪く受け取られて、さらに悪い印象を与える結果となり、炎上しまし。 |
【謝罪文の公開形式による失敗事例その2】 自身の軽はずみな発言についての謝罪文を手書きし、その画像を公開したある著名人の事例。 本人は手書きすることで誠意を込めたつもりだったが、謝罪よりも理由の釈明が主な内容だったこともあり、さらに炎上。その上知性の求められる職業だったため、手書き文字の稚拙さまでが批判の対象となった。 |
どちらのケースとも、広報担当者または本人は良かれと思ってやったのかもしれません。
しかし謝罪文については一般的なやり方を踏襲しないと、誤解やうがった解釈を招き、かえって誠意が伝わらなくなるものです。
5. リコール案内文は「確実に」「地道に」届ける
リコールの目標は、消費者の元にある対象製品すべてを回収することです。
リコール案内文を一度きり出したのでは、済まないことも多いでしょう。
【消費者が特定されている場合】
まずは電話などで直接お詫びと使用中止の依頼をします。それから改めて事故の詳細やリコール方法を書面で送りますが、案内文の内容と同じくらい大切にしたいのが、「相手に確実に届く」こと。
電話番号が変わっているなどで連絡がつかない場合、住所の確認や追跡も必要になってきます。
また、事故などのない配達品質の高さを選ぶことも、大切なお客様を守る方法のひとつです。
【消費者が不特定多数の場合】
今回ご紹介したリコール案内文で反応のあった消費者情報のモニタリングから、以下のような分析をします。
- どのような人たちまたは地域において、いまだに製品を使用している可能性があるか
- どのあたりの利用層や所有層には連絡がついていないか
そして以下のような、考えうる限りの「地道な対策」によって、消費者を見つけ出す努力が必要です。
- 特定地域の世帯ポストへの直接投函
- 業界団体等との共同リコール
- 自治体等への協力依頼
- 特定の所有者がいない共同利用下での使用製品や、中古品市場等での使用製品の探索
どちらの場合においても、顧客の安全を第一に考え、「確実に」「地道に」伝え続けることが重要です。
「全国全世帯」に「あなたの届けたいもの」を配達する株式会社DEALでは、あなたの大切なお客様に確実にリコール案内文を届けるためのサービスを行っております。 また、特定地域の世帯ポストへの全戸配布や、消費者属性を踏まえたセグメント配布など、リコール案内チラシの直接投函によって、あなたのお客様を探し出すお手伝いをいたします。 株式会社DEALのサービスについての詳細は、以下のページで詳しくまとめられてます。ぜひご一読ください。 |
まとめ
今回は、初めてリコール案内文を書くあなたが自信を持って書けるようになるため、リコール案内文の大原則から炎上事例まで詳しく解説しました。
第一章『リコール案内文は事実を正しく伝えるのが重要!』では、あなたの書くリコール案内文によって多くの方が救われるという展望ができたことでしょう。
第二章『「正しい」リコール案内文に入れるべき6つの要素』では、書くべきことを書くべき順に整理することで、やるべきことが冷静に見えてきたはずです。
第三章『宛先別の書き方』では、実際の書面の構成や文言を知ることで、落ち着いて具体的な書面の作成ができるようになりました。
第四章『リコールや謝罪でやってはいけないこと』で過去の炎上事例を知ることで、あなたの書くリコール案内文が世間から叩かれるような危険を回避することができました。
第五章『リコール案内文は「確実に」「地道に」届ける』では、今後の継続的なリコールにおけるヒントを得ることで、少しだけ心に余裕が生まれたことでしょう。
どうぞ胸を張って、大切なお客様を救うためのリコール案内文を書いてください。
リコールが円滑に進み、あなたのお客様の笑顔と安全を守るお手伝いができればなによりです。