「広報誌の裏表紙には、何を載せるのが良いのだろう?」
「裏表紙のデザインはどんな風にすれば…?」
広報誌の裏表紙を制作するにあたり、こうした疑問をお持ちの方は少なくないでしょう。
表紙や中身に比べると、“裏表紙”に関する情報は少ないのでイメージがわきにくいですよね。
裏表紙は表紙に負けないくらい大切な「広報誌の顔」です。なぜならば、広報誌を閉じたときに最後に目に入る裏表紙は、その広報誌ひいてはその団体の「イメージ作りの仕上げ」をする役割を担っているからです。
そのため、記載する要素やデザインは、団体の目的やカラーに合わせてしっかり考える必要があります。
そこで本記事では、広報誌の顔となる裏表紙を制作するために押さえておきたい情報をまとめてご紹介いたします。
具体的には、
- 裏表紙に載せると良い6つの要素
- 裏表紙の参考デザイン12選
- 簡単にプロ並みの裏表紙が作れる「無料ソフト」
などについて順に解説してまいります。
広報誌の裏表紙の企画・デザインを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
1. そもそも広報誌の裏表紙とは?
それではまず最初に、そもそも裏表紙とは? という所から解説していきましょう。
「そんなことはわかっているよ」とおっしゃるあなたは、裏表紙がどこを指すのか勘違いされていないでしょうか?
実は裏表紙の場所を間違って覚えている人は意外に多いのです。裏表紙とはどこのことで、どんな役割を担っているのか、この機会にしっかり知っておきましょう。
1-1. 裏表紙ってどこを指すの?
「裏表紙」とは、本や冊子をひっくり返したときに表になる部分のことです。
表紙をめくった裏側(表紙裏)と混同されやすいですが、違う部分なので注意してください。
例)雑誌の裏表紙
「背表紙」ともよく混同されますが、違います。
「背表紙」とは、本棚に本や冊子を入れたときに見える下記のような背中部分のことです。
例)洋書の背表紙
背表紙に記載される情報は、タイトルと作者名、発売元くらいです。広報誌の場合は大抵そこまで厚みがないので、背表紙といえるものはないことがほとんどでしょう。
その分、裏表紙の役割が大きくなります。広報誌における裏表紙の役割について、次項で解説していきましょう。
1-2. 広報誌の裏表紙の役割
広報誌における裏表紙は、その広報誌ひいてはその団体の「イメージ作りの仕上げ」をする役割を担っています。
どんなに素晴らしい内容の広報誌でも、最後の最後に嫌な印象を与えてしまったら台無しです。
広報誌をひっくり返したときに表になる部分である裏表紙は、言い換えれば、閉じた時、最後に目に入る部分でもあるのです。読後の後味はとても大切です。
また、置き方によっては裏表紙が表向きになるケースも考えられます。
そんな場合も考慮にいれ、表紙ほどではないにせよ、裏表紙だけでわかる「何の広報誌なのか?」という情報や、「手に取りたい」という興味をそそるデザインの工夫が必要です。
たとえば小説本を購入する際、裏表紙のあらすじを読んで「面白そう」と思って選ぶことがありますよね。
前評判など予備知識があれば別ですが、手に取って裏表紙に何の情報も記載されていない本は、キャッチーなコピーやあらすじが載っている本に比べて選ばれにくいです。
では裏表紙には一体どんな要素を記載すれば良いのか? デザインにはどんなものがあるのか?次章から順に解説していきますのでぜひ参考にしてください。
2. 広報誌の裏表紙に載せると良い6つの要素
広報誌の裏表紙掲載事項に決まったルールはありませんが、情報として載っていると良い要素は以下の6つです。
デザインに合わせて、1つあるいは幾つかを組み合わせて載せると良いでしょう。
【① ロゴ】
団体やグループのロゴは裏表紙によく記載されます。デザインを見ただけで「どこの広報誌か」がわかりやすくなります。
【② 広報誌のタイトル】
表紙に記載されているので必須ではありませんが、タイトルは看板のようなものですから裏表紙にもあると読者に親切です。
【③ 〇巻(〇号)・発行年月日】
②のタイトルを載せるのであれば、何巻(号)であるのかと、発行年月日は必ず載せた方が良いでしょう。
バックナンバーを揃えやすくなりますし、必要なときに数冊の中から抜き出すのにも役立ちます。
【④ 連絡先(住所・電話番号・メールアドレス)】
団体や広報誌編集部への連絡先は、表紙ではなく裏表紙、もしくは裏表紙裏(裏表紙の内側のページ)に記載するのが通例です。
昨今の時流からすると、住所、電話番号に加えて、メールアドレスも記載した方が利用されやすいでしょう。あるいは、メールアドレスのみという場合も考えられます。
【⑤ ホームページ・QRコード】
読者に、“定期購読して欲しい”、“イベント参加の申し込みをして欲しい”など、何らかの「アクション」を起こして欲しい場合は、裏表紙にホームページのURLやQRコードを明記するのがおすすめです。表紙の次に簡単に目に入るのが裏表紙ですから、効果が期待できます。
【⑥ 次号の発売日・特集予告】
裏表紙に次号の発売日を載せておくと、読者に覚えておいて貰いやすくなります。また、特集を予告することで、「次も読みたい」という期待値が高まります。
テーマがしっかり決まっていない場合でも、(予定)とつけておけば問題ありません。
ここもチェック!【裏表紙への有料広告掲載について】 裏表紙には、お店や企業などの有料広告を募って載せることもできます。日本広報協会が2015年に行った「広報広聴活動調査」によると、裏表紙に限りませんが、全国の市区町村の広報誌の約60%が有料広告を掲載しています。 有料広告を載せる1番大きな目的は「財源の確保」ですが、その他にも「地域経済の活性化」や「生活関連情報の提供」などのメリットが挙げられます。 一方、公共性の高い広報誌に広告を掲載することは、自治体倫理や広報の社会的責任などの面で問題がないのかといった否定的な意見もあります。裏表紙への有料広告掲載は、こうした両論を踏まえた上で判断するようにしましょう。 |
3. 参考にしたい!広報誌の裏表紙デザイン12選
裏表紙に載せたい要素は決まったでしょうか。要素が決まったら、次に考えなくてはならないのが、裏から見ても興味をそそるデザインです。
この章では、実際の裏表紙デザインの事例を、6つのパターンにわけて12選ご紹介します。
- 活動を伝える写真メインのパターン/3例
- 表紙と連動した写真で魅せるパターン/1例
- アクションを求める情報掲載のパターン/3例
- 独自のコーナーで楽しませるパターン/2例
- イラストを表紙と連動させたパターン/2例
- 画像なしのシンプルなパターン/1例
どの業界の広報誌かが一目でわかるように明記してあります。
裏表紙の役割を果たす工夫が凝らされたデザインをご覧になって、ぜひ参考にしてください。
3-1. 活動を伝える写真メインのパターン
PTAや自治体の広報誌裏表紙で比較的よく用いられるのが、活動を伝える写真をメインにしたデザインです。
興味を惹く写真があれば表から順に読んでいっても最後まで楽しめますし、裏側を最初に見た人も、タイムリーな写真に目を惹かれて中身を読んでみたくなるでしょう。
【PTA】面白そうな体験講座や鑑賞会の写真が目を惹く!
出典:東光中学校PTA
その時期に行われた体験講座や鑑賞会の写真をメインにした裏表紙です。参加した人はもちろん、していない人も「どれどれ」と見たくなりますね。
会長の言葉や編集後記を裏表紙に載せているのも、中身を熟読しない人の目に触れやすいという意味で良いアイデアではないでしょうか。
【市町村】思い出を切り取ったカメラスケッチ
出典:北海道深川市
カメラスケッチと題して、思い出のシーンを切り取ったスナップで飾った裏表紙です。額縁のようになっていて見やすいですね。
URLやQRコードが記載してあって検索もしやすく、情報を目に触れやすくする裏表紙としての役割を果たしています。
【市町村】おめでたい町の受賞者を裏表紙で紹介
出典:福島県田村郡三春町
大会で受賞した町のスポーツ選手やチームを裏表紙で紹介しています。最初から読んできて、裏にこんな記事があると嬉しい気分で読み終われます。
裏だけを見た人も、おめでたいニュースに興味を持って広報誌を手に取ってくれるんじゃないでしょうか。
この裏表紙の下方は広告記事になっています。有料広告を検討している場合は、参考にしてください。
3-2. 表紙と連動した写真で魅せるパターン
学校や同人広報誌の裏表紙で用いられやすいのが、表紙と連動した写真で魅せるデザインです。
表紙と裏表紙が大きな写真として繋がっていたり、ここで紹介するパターンのようにフィルムが一続きになって繋がっていたりして、見る人を楽しませます。
現場の笑顔を届けたい!といった願いを込める広報誌に合うデザインです。
【育友会】優勝は白組!歓声まで聞こえてきそうな写真の数々
広報誌を開いて表紙と裏表紙を一続きにすると、ひとつながりになっています。写真やフィルムの画像がつながっている活気のあるデザインです。
おわかりでしょうか? 真ん中に、白対赤の点数があります。表紙側に優勝した白組、裏表紙側に準優勝の赤組となっているのです。
歓声まで聞こえてきそうな楽しいデザインですね。
3-3. アクションを求める情報掲載のパターン
裏表紙に、読んだ後に起こして欲しいアクションの方法や手順などを明記すると効果が見込めます。
裏表紙は表紙に次いで見る人の多いページなので、アピールの場として最適なのです。情報や手順を上手く伝えた裏表紙のデザインを3例ご紹介しましょう。
【市民大学】「学園祭参加の呼びかけ」と「後期講座受講生募集」
出典:さやま市民大学
TOPICSと題したイベントの紹介や編集後記まで載った情報量の多い裏表紙。メインとなっているのが、「学園祭参加の呼びかけ」と「講座受講生募集」の情報です。
QRコードや、ホームページに誘導する「検索クリック」などで、読み手にアクションを起こしやすくしている工夫が見られます。
【クリニック】受付時間&地図と講習会の告知
出典:公益財団法人 日本心臓血圧研究振興会 榊原記念クリニック
クリニックに興味がある人が1番知りたい、受診するのに必要な情報(受付時間、地図と行き方、場所、連絡先)が中を開かなくても見られる裏表紙に見やすく記載されてあります。
講習会の告知もここに載っていれば、忘れることがなさそうです。
特別凝ったデザインではないですが、アクションを起こしやすくする裏表紙としてわかりやすい例です。
【市町村】空き家バンク制度の具体的な案内
出典:人吉市ホームページ
市が募りたい空き家バンク制度の登録、利用方法が具体的に記載されている裏表紙です。ここまでしっかり説明されていれば、すぐにアクションを起こすことができますね。
「広報誌読者で空き家バンク制度に興味がなかった人が見たことで注目する」場合と、「広報誌読者でない人が空き家バンク制度に惹かれて広報誌を手に取る」可能性の2つの効果が見込めます。
3-4. 独自のコーナーで楽しませるパターン
裏表紙見たさに広報誌を手に取る人が増えるような、独自のコーナーを設けるパターンもオススメです。
自治体やクリニックの広報誌では、アイデア料理の作り方を連載したり、読者から面白いスナップを募集して当選作品を掲載したりといたコーナーが設けられていることがよくあります。
裏表紙単独の「見る楽しみ」を作ることも、読者を惹きつける方策のひとつになります。
【県】その土地の「どこよりもすごいこと」を裏表紙に連載
出典:山形県ホームページ
「やまがた伝説」と題し、山形の「どこよりもすごいこと」を連載する裏表紙独自のコーナーを設けています。
この号に載っているのは、世界最大約3万食分の芋煮を作る巨大鍋「三代目鍋太郎」の伝説!
他にも、県内最大級のダム伝説や、消費が日本一だというソウルフード「玉こんにゃく」伝説など県民でなくても興味が湧く伝説が続々とあり、裏表紙読みたさに広報誌を手に取る人も少なくなさそうです。
【市町村】アンケートに答えるとプレゼントがもらえる!
出典:富岡市
裏表紙にプレゼントが貰えるアンケートやクイズを載せると、楽しみに見てくれる読者が増えます。
こちらの広報「とみおか」では、プレゼントに最近オープンしたカフェのドリンクをつけ、同時に店舗も紹介しています。
〜読んで答えて、すてきなプレゼントをもらおう!〜というキャッチは、子どもにもわかりやすくていいですね。
3-5. イラストを表紙と連動させたパターン
表紙と裏表紙が繋がったイラストや、カラーで繋げたり色違いにしたりして連動させると、オシャレなイメージになります。
団体の印象をスッキリ、センス良く感じさせたい広報誌にオススメのパターンです。
【市町村】シンボリックなイラストで表紙と一体感
市のシンボルマーク(豊見城の「と」を3つ円形に城のように絡み合わせたマーク)と、テーマである「ひと・そら・みどり」をイメージさせるイラストを表裏で連動して一体感を持たせたデザインです。
<豊見城市のシンボルマーク>
出典:沖縄県豊見城市
空だけでなく沖縄の澄んだ海も感じさせる鮮やかなカラーが素敵で、思わず手に取りたくなりますね。
裏表紙だけ見てもしっかり「何の広報誌か」がわかるところ、背表紙のカラーまで計算されて統一感があるところも参考になります。
【同人誌】色違い&柄違いでファンタジック
こちらは同人誌で、「溺れる」という言葉にかけて海をイメージしたデザイン。表裏とも海ですが、色違い&柄違いで変化を持たせており、ファンタジックな雰囲気になっています。
タイトルとあいまってまるで1枚の絵のよう! 興味を惹きますね。
3-6. 画像なしのシンプルなパターン
厚みのある広報誌であれば、誌面を割く内容は全て中側に記載し、裏表紙は画像なしのシンプルなパターンも少なくありません。
その場合も、ロゴマークや団体住所など連絡先だけは載せた方が親切でしょう。シンプルなだけにフォントやロゴの配置、下線などのデザインにセンスが問われます。
【企業】ロゴを際立たせてセンス良く
ごちゃごちゃしたデザインにするよりは、このくらいスッキリとした裏表紙が好まれる場合もあります。
こちらは、とてもシンプルですが、ロゴと会社名だけが少し大きくカラーにして際立たせてあるところ、文字の配置が整然としていてセンスの良いところが参考になります。
広報誌のデザインについて知りたい方におすすめ
4. 手軽に素敵な裏表紙が作れる!無料ソフト2選
裏表紙のデザインイメージが具体的に描けましたでしょうか?
イメージはあっても自分で作成するのは大変だという方に、手軽に裏表紙が作れる無料ソフトを2選ご紹介します。どちらも簡単にプロ並みの素敵な裏表紙が作れるソフトなので、ぜひ利用してみてくださいね。
4-1. 冊子に特化したソフト!bookuma(ブックマ)
出典:bookuma
bookumaは冊子に特化したデザイン作成ソフトです。
ホームページから専用ソフトをダウンロードすると、パンフレット、カタログ、フリーペーパー、社内報の4タイプの中からテンプレートが選べます。
広報誌の裏表紙のパターンはいくつか用意されているので、イメージに沿ったデザインを選び、編集作業を進めていくことができます。
編集は決められたレイアウトが決まっているため、写真とテキストを書き込んでいくだけでとても簡単です。決められた通りに編集していけば、プロ並みの素敵な広報誌が完成します。
【ここがオススメ!】
- 印刷まで一括して任せることができます。
- 本格的な冊子が作れる編集機能(ページ編集、画像編集、テキスト編集)が豊富です!
- 各誌の制作のコツを「ゼロからの!本の作り方教室」という記事で詳細にアドバイスしてくれます。
【公式サイト】
https://honlabo.com/extra/download/
4-2. おしゃれでハイクオリティ!Canva(キャンバ)
出典:Canva
オーストラリア発祥の無料デザイン作成サイCanvaの最大の魅力は、プロのデザイナーが作成したハイクオリティなテンプレートです。
広報誌の裏表紙に最適なかっこいいデザインがたくさんあり、その中からイメージに合うものを選んで、画像を当てはめたり、文字を変えるだけで、誰でもおしゃれなデザインを作ることができます。
素材が豊富に用意されているので、洋風でも和風でも、広報誌の目的や意図、イメージに沿った裏表紙デザインが可能です。
書店に並んでいるようなセンスの良さが目を惹く広報誌を作りたい方に、ぜひ1度試して頂きたいソフトです。
【ここがオススメ!】
- インストールしなくてもサイトにアクセスするだけで、すぐにデザイン編集を始められます。
- 海外ならではのオシャレでセンスの良いデザインが利用できます。
- iPhone・Androidアプリもリリースされているので、スマホからでも画像編集などが行えます
- GoogleやFacebookアカウントでログインできるので、他のパソコンからでも簡単に編集の続きが行えます。
【公式サイト】
https://www.canva.com/
広報誌のレイアウトについて知りたい方におすすめ
まとめ
広報誌における裏表紙は、その広報誌ひいてはその団体の「イメージ作りの仕上げ」をする役割を担っています。
裏表紙も表紙に負けないくらい大切な「広報誌の顔」なのです。裏表紙には以下の6つの要素の中から1つ、あるいは幾つかを組み合わせて記載しましょう。
- 団体やグループのロゴ
- 広報誌のタイトル
- 〇巻(〇号)・発行年月日
- 連絡先(住所・電話番号・メールアドレス)
- ホームページ・QRコード
- 次号の発売日・特集予告
デザインは様々考えられますが、迷ったときは、ご紹介した以下のパターンの中からイメージに添ったものを選びましょう。
- 活動を伝える写真メインのパターン
- 表紙と連動した写真で魅せるパターン
- アクションを求める情報掲載のパターン
- 独自のコーナーで楽しませるパターン
- イラストを表紙と連動させたパターン
- 画像なしのシンプルなパターン
記事を参考に、裏表紙の役割をしっかり果たす良いデザインを作って頂けたらと思います。