広報誌を作る際、皆さんが1番頭を悩ませるのが「企画出し」かもしれません。
「面白い企画…読み手を惹きつける企画…と考えれば考えるほど出てこない」
「長く続けているせいでネタがつきて、新しい企画が浮かばない……!」
そんなときは、企画企画と悩むのではなく、いま、誰に、どんなことを伝えたいか? を考えると具体的な企画が思いつきやすくなります。
本記事では、そんな風に企画に悩んだときに役立つ4つの視点を解説します!
- 「誰に」「どんなことを伝えたいか」を考える
- 自分が知りたい(読みたい)ものを考える
- 読み手に役立つテーマから探す
- 5つの軸を足がかりに考える
考え方がわかれば、モヤモヤしていた頭が整理出来て、自分の書きたいテーマが浮かびやすくなります。
また2章では、企画を出す足がかりとなる5つの軸を具体的に解説します。
- 季節に合わせた話題
- メンバーなど人物を紹介する
- 活動を紹介する
- 社会の動向に合わせた話題
- 読み手に有益な情報
さらに、軸に添って考えられる企画を、「自治体」「PTA」「病院」「企業」の業界別に76事例、一覧にしてご提示します!
それらを応用すれば、あなたもすぐに幾つかの企画をたてることができるでしょう。
もっとオリジナリティがあって、大きな反響が見込める企画をたてたい! と思われている方のために、広報誌コンクールで入賞した「目を惹く企画7選」もご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事を、読み手の心を掴む面白い企画出しに大いに役立てて頂けたらと思います。
1. 読まれる企画を出すために役立つ4つの視点
広報誌の企画が思い浮かばず悩んだときは、以下の3つの視点に立って考えると頭がクリアになります。
- 「誰に」「どんなことを伝えたいか」を考える
- 自分が知りたい(読みたい)ものを考える
- 読み手に役立つテーマから探す
- 5つの軸を足がかりに考える
ひとつずつ分かりやすく解説していきましょう。
これらに留意することで、漠然としていた「起てたい企画」の輪郭が見えてきますので、しっかり読んでためしてくださいね。
1-1. 「誰に」「どんなことを伝えたいか」を考える
企画が思いつかないときは、まず誰に、どんなことを伝えたいかを考えましょう。
それは、広報誌を発刊する目的を再確認することにも繋がります。
ただ企画をどうしよう…と悩むのではなく、広報誌の主旨=「届けたい相手」と「届けたい内容」を考えることで、取りあげるべき企画が見えやすくなるのです。
たとえば病院の広報誌で、地域の高齢者に、或いは子どもたちに、「病院独自の取り組みを知ってもらいたい」という目的があるとします。
その視点から考えれば、患者に有益な勉強会やイベント情報を読み物として届ける企画が起ち上げられます。
高齢者であれば小さな文字は避けて画像多めのコーナーが良いかもしれませんし、子どもがターゲットであれば、キャラクターを登場させた漫画にするといったアイデアもあるでしょう。
医療知識や生活習慣の〇✖️チェックシートを取り入れると、年齢を問わず試しやすいですね。
企画に悩む頭を1度クリアにして、誰に、どんなことを伝えたいのかを考えると、何を取りあげるべきなのかが明確になります。
1-2. 自分が知りたい(読みたい)ものを考える
企画が浮かばないからといって、やたらに周りを見回すのではなく、自分自身の中にある「これが知りたい」「こんなものを読みたい」を探ってみましょう。
前項で「伝えたいものを考える」と述べましたが、伝えたいものは「自分が興味のあるもの」でなければなりません。
自分が読みたくもない企画を起ち上げたところで、読者を惹きつけられるはずがないですよね。
たとえばPTAの広報誌で、ご自身も保護者の一人であれば、児童の携帯電話事情に興味がないでしょうか。
「何年生くらいから持たせるべきかな?」「何割の子どもが使ってる?」
「一日何時間とか決めるもの?」「SNSは使わせたくないけどダメっていうだけで大丈夫?」
こういった自分が気になっている話題は、当然みんなも知りたいので、特集すると良い企画になります。
企画出しに行き詰まったたら、いま自分は何が知りたいか、どんなことに興味があるかを考えてみましょう。
1-3. 読み手に寄り添うテーマから探す
企画に悩んだとき、読み手の心に寄り添って「役立つテーマは何か?」を考えると良い企画になります。
広報誌を読んで勇気づけられたり、抱えている問の題解決に向けて具体的に助けになるものがあると、その人は次号も手にとりたくなるでしょう。
それはすなわち、読み手に「役立つ企画」にするということです。
役立つ企画は多くの人に読まれ、話題にもなります。
たとえば自治体の広報誌では、イベントの案内や活動紹介以上に、行政が行うサービスなど暮らしに関するお得情報が喜ばれます。
深いところでは、どの地域でも悩みの多い高齢者の問題で、「認知症との向き合い方」や「過疎化の進む町で〇〇さんがUターンして開いたカフェ」といった悩みに向き合う事例紹介の企画も、地域の人たちに勇気を与えたり、支えになります。
企画で悩んだときは、多くの読者が抱える問題を探り、寄り添うようなテーマを考えてみましょう。
1-4. 5つの軸を足がかりに考える
広報誌の企画は、以下の5つの軸を足がかりに探すとイメージが湧きやすくなります。
- 季節に合わせた話題
- メンバーなど人物を紹介する
- 活動を紹介する
- 社会の動向に合わせた話題
- 読み手に有益な情報
『いまの季節に合わせた話題にはどんなものがあるだろうか?』
『社会の動向で、この業界に関わってくるタイムリーな話題って何かな?』
と、筋立てて考えていくことで、ただ漠然と考えるよりも具体的に、読み手の心を掴む企画が思い浮かびます。
次章では、この5つの軸別に考えられる企画を、「自治体」「PTA」「病院」「企業」の業界ごとに76事例ご紹介します!
2. 【5つの軸別一覧】業界ごとの企画事例76選
企画を立てるときの考え方はわかったけれど、これ!という企画が見つからないという方もいらっしゃるかと思います。
そこでこの章では、1-4でお伝えした「5つの軸」について具体的な例を挙げて分かりやすく解説します。
- 季節に合わせた話題
- メンバーなど人物を紹介する
- 活動を紹介する
- 社会の動向に合わせた話題
- 読み手に有益な情報
軸ごとに発想できる企画を、「自治体」「PTA」「病院」「企業」の業界別に76事例、一覧にして紹介していきます。
需要の多い、読まれやすい事例の数々ですのでぜひ参考にしてください。
2-1. 季節に合わせた話題
季節に合わせた話題は、企画を探しやすい軸になります。
季節ごとのイベントは読み手も楽しみにしていますし、そのシーズンならではの話題は皆の興味を惹きやすいです。
【季節に合わせた企画/事例】
自治体 |
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PTA |
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病院 |
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企業 |
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季節に合わせた企画はたくさんあって取り入れやすいです。
ただし、時期があまりズレてしまうと季節感を感じられず共感が得られない場合があります。
季節に合わせた企画をたてる時は、掲載のタイミングを計算するようにしてください。
2-2. メンバーなど人物を紹介する
メンバーなど人物を紹介する企画は、その団体に親しみを持ってもらえる効果があります。
PTAでは、先生だけでなく、給食担当、用務員さんなど、子どもたちが接している様々な人物の人と成りに興味を持っている父兄がいるでしょう。
また自治体では、地元の有名人や、名物になっている人を紹介することで地域に愛着や誇りを感じてもらえます。
【人物を紹介する企画/事例】
自治体 |
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PTA |
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病院 |
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企業 |
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一人を紹介するだけでなく、チーム全員での対談や座談会の企画も、普段は見られないキャラクターなどが垣間見えて楽しく、人気があります。
2-3. 活動を紹介する
本来広報誌の目的は、『その団体の取り組み、社会(文化)的活動を広く伝えることで、共感や信頼を得て、団体のイメージや価値を高めること』です。
その視点でいえば、活動や行事を紹介する記事は広報誌の中心になる企画といえるでしょう。
【活動を紹介する企画/事例】
自治体 |
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PTA |
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病院 |
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企業 |
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活動の様子をただ紹介するのではなく、面白い画像を選んだり、対談を挟む、どこかにスポットをあてて焦点を絞るなど、切り口を工夫した企画にすると読者の関心を引くことができます。
2-4. 社会の動向に合わせた話題
「その業界の今」と「社会の動向」を合わせたタイムリーな話題は、読みたい人の多い興味深い企画になります。
【社会的にタイムリーな企画/事例】
自治体 |
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PTA |
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病院 |
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企業 |
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グループ内での話題に終始するのではなく、その時々で世間を騒がせている注目度の高いテーマで特集を組むと、誰もが興味がある話題なので、読み手の関心を集めることができます。
2-5. 読み手に有益な情報
「読み手に役立つ情報を発信しよう」ということを軸に企画を考えると、多くの人に喜んで読まれるものになります。
【読み手に有益な企画/事例】
自治体 |
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PTA |
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病院 |
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企業 |
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有益な企画の中には、お得な制度や無料参加イベントといった直接的に役立つもの以外に、PTA事例の母親インタビューのように読んで参考にできる企画も含まれます。
また、新校舎紹介のように「知りたかったことを垣間見れる企画」や、「試せる企画」として病院のチェックシートも満足度の高い企画だと思います。
アンケートやクイズ方式など伝え方にも様々な仕様が考えられます。
プレゼント付きにして、次号の購読者を増やすのに成功している広報誌もあるようです。
3. 参考にしよう!広報コンクール受賞企画8選
ここまで読まれたあなたは、もう幾つかの良い企画を思いつかれたことでしょう。
「でももっとすごく面白い企画ってないかな?」
「他の広報誌と被らない斬新な企画にしたいんだけど」
そんな風に思っている方のために、他と被らない面白い企画の実例を8選ご紹介します!
- 【自治体】ふるさとの味をつなぐ20年の活動 おばあちゃんの「みのり」
- 【自治体】鉄道スタンプラリー/6駅長に聞く!アダチのハナシ
- 【PTA】ICT利活用って何?
- 【PTA】秦高生の実態調査
- 【PTA】第1面に給食写真を一挙公開
- 【病院】“寝たきりにさせない”毎日のレクリエーション
- 【企業】帰ってきたオトコたち
- 【企業】アンコンシャスバイアス〜身近に潜む“無意識の偏見”
8つともコンクール等で入賞を果たした「読者の心を掴む優れた企画」ですので、ぜひ参考にしてください。
3-1. 【自治体】ふるさとの味をつなぐ20年の活動 おばあちゃんの「みのり」
出典:愛媛県内子町
2019年の全国広報コンクールで内閣総理大臣賞を受賞した愛媛県内子町「広報うちこ(2018年12月号」の企画です。
“ふるさとの味をつなぐ20年の活動 おばあちゃんの「みのり」”と題し、地元農産物の加工や生産をメインに5人の元気なおばあちゃんが活動する「加工所みのり」について特集しています。
おばあちゃんたちの生き生きした写真をメインにした誌面、取材に基づいて彼女らの20年の歩みと地元の食文化について綴った記事からは、作り手の内子町への愛情が伝わってきます。
内子町の住民でなくても、まるで故郷に触れたように感じられる、優しさに心揺さぶられる企画です。
3-2. 【自治体】鉄道スタンプラリー/6駅長に聞く!アダチのハナシ
出典:足立区
平成30年度全国広報コンクールの企画の部で入選を果たした足立区の広報誌「あだち(平成30年9月10日号)」の企画です。
足立区では広報誌と連動して鉄道企画を展開、6鉄道とのコラボで「スタンプラリー」「パネル展示」「鉄道フェスタ」などのイベントを開催。
「あだち」はスタンプラリーなどのイベントがより楽しめるように、「6駅長に聞く!アダチのハナシ」と題して、駅長に地域の魅力を聞く企画を組んだのです。
コンクールでは、イベントを広報誌と連動させて広報担当者が自ら企画・運営した試みが高く評価されました。
6鉄道が走っている区の特徴を活かしたスタンプラリーを、子どもと保護者が一緒に楽しめる企画で、この記事を読むことでさらに興味が湧いてきます。駅長さんにも会いたくなってきますね。
3-3. 【PTA】ICT利活用って何?/秦高生の実態調査
出典:神奈川県立秦野高等学校
2017年第41回のPTA広報紙コンクールで最優秀賞に輝いた秦野高等学校の「ひろはた」は、以下のような6本もの特集を組み、それぞれ内容も含めて読む人の視点で、細かく工夫してある点が高く評価されました。
- 秦高生の実態調査
- ICT利活用って何?
- 弾けよう!小文化祭
- 活躍してます!秦高生
- 卒業生からメッセージ
- 災害に備える
なかでも、ICT利活用授業推進校の現状とこれからを色々な角度から取材した「ICT利活用って何?」は、保護者にはわかりづらい(でも興味のある)今日的で、しかも子どもたちに直接関わってくる話題性が注目された企画です。
出典:神奈川県立秦野高等学校
導入の経緯や、画像入りで分かりやすい機器の紹介、生徒からの声など、読み応えたっぷりで、まるで子どもと一緒に授業を受けているような満足が得られる記事です。
また、「秦高生の実態調査」はありそうでなかなかない企画!
高校生の実態をアンケート調査し、グラフを使って目に飛び込んでくる記事に仕上げています。
出典:神奈川県立秦野高等学校
父兄だけでなく、生徒たち自身も「みんなはどうなの?」と知りたい内容で、これは家庭での話題にもあがりそうです。
3-4. 【PTA】第1面に給食写真を一挙公開
出典:中国新聞デジタル
中国新聞社と広島国際文化財団が行う「新聞コンクール」の第9回大会で最優秀賞を受賞した防府市立勝間小学校のPTA新聞「かつま」。
こちらは食育の企画で、第1面に子どもの1ヶ月の給食写真を一挙に掲載したものです。
すごくインパクトがあると思いませんか?
保護者ならメニューは知っているかもしれませんが、実際にどんな食べ物なのかはわからないので、日頃から「我が子がどんなものを口にしているのか?」が気になっているはず。
これは絶対惹きつけられると思います。
別の頁にはレシピや献立の助言など保護者に役立つ情報も載せられていて、「母の思い」の詰まった、「母の読みたい」企画になっています。
3-5. 【病院】“寝たきりにさせない”毎日のレクリエーション
病院関連広報誌を対象にしたBHIデザイン賞で2018年企画賞を受賞した医療法人豊隆会(ちくさ病院グループ)の「すいどうみち」では、“寝たきりにさせない”毎日のレクリエーションの企画が注目されました。
介護の現場での取材、働くスタッフのインタビューをまじえ、地域のための施設が行っている取り組みを真っ直ぐな目線で特集しています。
綺麗事でない生々しさ、本気の取材に「生きる」ということを感じさせてくれる企画です。
3-6. 【企業】帰ってきたオトコたち
こちらは社内報ですが、タイトルやデザインがキャッチーで、内容も含めとても面白い企画です。
全国社内報企画コンペティションでシルバー企画賞を受賞した、株式会社ワークスアプリケーションズの「COMPANISTA(カンパニスタ)2013年5・6月号」の「帰ってきたオトコたち」。
会社を離れた社員の復職を認める「カムバック・パス制度」を利用したオトコたちの事例を紹介した企画です。
自由度の高いキャリアメイクを可能にし、制度の利用促進を目的としたこの記事は、「自社が人をいかす企業であることを伝えた本企画は、実に有効で秀逸」と評されたそうです。
漫画チックにも感じられる表現やデザインの工夫が効果を発揮し、読者の興味を掻き立てますね。
真面目に詳しく伝えさえすればいいわけではないということがよく分かります。
3-7. 【企業】アンコンシャスバイアス〜身近に潜む“無意識の偏見”
社内報アワード2019でブロンズ賞を受賞したパーソナルホールディングス株式会社の「ツナぐ」。
こちらも社内報になりますが、「『普通』って、誰が決めるんだろう?」という表紙のメッセージに始まり、個々の立場や物事の見え方、価値観を見つめる企画の数々にオリジナリティがあり、ニュースの切り取り方の参考になります。
特に目を惹くのが「アンコンシャスバイアス〜身近に潜む“無意識の偏見”」という企画。
アンコンシャスバイアスを社員が自分ごととして捉えられるよう、身近な“あるあるシーン”を抜粋してコミカルなタッチのイラストと共に描いています。
読者である社員から「思わずハッとさせられた」「思い当たることが多く考えさせられた」などの感想が聞かれたそうです。
広報誌の目的について知りたい方におすすめ
まとめ
広報誌の企画に行き詰まったときは、4つの視点に立って考えてみましょう。
- 「誰に」「どんなことを伝えたいか」を考える
- 自分が知りたい(読みたい)ものを考える
- 読み手に役立つテーマから探す
- 5つの軸を足がかりに考える
5つの軸の内容はしっかり把握できましたでしょうか。
- 季節に合わせた話題
- メンバーなど人物を紹介する
- 活動を紹介する
- 社会の動向に合わせた話題
- 読み手に有益な情報
これらを駆使し、ご紹介した優れた記事も参考にしながら、面白いテーマを発案してくださいね。
あなただけのオリジナリティのある企画が立ち上がることを祈っています。