リコール通知義務のある3つの場所【通知を怠れば処罰の可能性も】

注意

「リコールが決定したけど、どこかに通知しなくちゃいけないの?」

「リコールを通知しなかったら何か罰則があるの?」

この記事を開いている方の多くは、リコールが決定したけど、どこに通知したらいいのか分からずに困っているのではないでしょうか。そもそも通知の義務があるかどうかもご存知ない方もいるかもしれません。

リコールを実施する際には、所定の場所にしかるべき方法で通知を行わなければなりません。

しかし、一口に「通知」と言っても、通知を行う場所も複数存在しますし、通知方法もそれによって異なります。初めての方が対応するのはなかなか難しいかもしれません。

そこでこの記事では、リコールを通知する義務がある場所をすべて紹介し、それぞれについての通知フローと注意点を解説していきます。

記事に書いてある手順を実践すれば、初めてリコール対応をする方でも正しいリコール通知をすることができます。リコールの通知段階で悩んでいる方は、ぜひこの記事を参考にしてください!

1. 通知はリコールが決まった時点で迅速に行う

時間

リコールを実施する場合は、必ず関係各所へ通知しなければなりません。

通知を怠ってしまうと、法令違反となり罰金や懲役を課せられてしまう可能性もあります。

通知期限については法令で定められている訳ではありませんが、リコールが決定した時点で迅速に通知を行いましょう。

なぜなら、消費者の安全を脅かすような状況が起きた場合、企業は消費者を守るために迅速にその情報を通知する義務があるからです。企業が最優先で考えなければならないのは、企業の利益ではなく消費者の安全です。

製品事故から消費者を守るために、できる限りスピーディーにリコールについての情報を共有しましょう。

2. リコール通知義務がある3つの場所

リコールの通知義務

企業がリコールを実施する時には、以下の3箇所にリコールの情報を通知しなければなりません。

  • 関係省庁
  • 保険会社
  • 消費者

そして、それぞれの場所に応じて通知方法も異なります。

次章以降では、各場所に通知する際に行うべき対応について、詳しく解説をしていきます。

また、リコールについて通知を行うためには、事前にリコールを実施するかの判断をしっかりと行い、リコール計画を正しく練る必要があります。

まだ、実施の判断を下していない、実施計画を作成していない方は、まずはそのステップをしっかり踏んでからリコールの通知をしましょう。以下の記事で、それぞれについて詳しく解説をしていますので、本記事を読む前に一度ご覧ください。

【経済産業省の情報に準拠】リコールの対応方法をわかりやすく解説

【経産省の情報をもとに解説】リコール実施を判断するための3つの基準

3. 【通知先1つ目】関係省庁への通知方法

ビル

リコール実施が決定したら、関係省庁にその旨を伝えましょう。リコール情報を伝える省庁は、リコールする製品によって異なります。

  • 「消費生活用製品」なら「経産省」
  • 「医薬品、医療機器、化粧品」なら「厚生労働省」
  • 「食品」の場合は、「企業が所在する都道府県」

にそれぞれ通知を行いましょう。

この章では、どのように通知を行えばいいかについて詳しく解説していきます。

3-1. 消費生活用製品の場合

消費生活用製品とは、経済産業省が消費生活用製品安全法において、「主として一般消費者の生活の用に供される製品」と定義した製品を指します。

消費者が生活のために使う製品はすべて消費生活用製品に該当します。

ただし、消費者が生活のために使う製品の中でも医薬品、医療機器、化粧品と食品は別のジャンルとして扱うので注意しましょう。

消費生活用製品のリコールを実施する場合、以下の3点を経済産業省に提出する必要があります。

  • 製品リコール開始の報告書
  • 製品リコール進捗状況の報告書
  • 製品リコール進捗報告終了のための自己評価報告書

それぞれの書類の提出方法ついて、詳しく見ていきましょう。

製品リコール開始報告書の提出方法

STEP1. 経産省のフォーマットに沿って報告書を作成する

リコール実施が決定したら、リコール開始報告書を提出します。

報告は各企業が自由な形で行うのではなく、経済産業省によってフォーマットが指定されています。必ずフォーマットに従って報告を行いましょう。

フォーマットは以下の通りです。

フォーマット

フォーマットは下記リンク先よりダウンロードができます。

リコールについて|経済産業省

STEP2. 3つの付随資料を準備する

次に、以下の3点を経済産業省へ送付します。

  • 製品の外観と不具合箇所の写真
  • 不具合箇所を修正した後の外観写真
  • ウェブサイトに告知文を記載する場合は、その告知文

報告書と同時に送付できるように準備を進めましょう。

STEP3. 報告書と付随資料を指定のメールアドレスに送付する

報告書と付随書類の準備が出来たら、経済産業省の製品事故対策室宛へ電子メールを送信します。

メールアドレスは、以下になります。

seihin-anzen@meti.go.jp

メールを送信したら、製品リコール開始報告書の提出は終了となります。

リコール進捗状況の報告書の提出方法

原則として、リコール開始1年目は3ヶ月ごと、2年目以降は6ヶ月ごとに進捗状況の報告をします。

リコール開始時と同様に、こちらに関しても経済産業省がフォーマットを定めています。報告のフォーマットは以下の通りです。

フォーマット

フォーマットは下記リンク先よりダウンロードができます。

リコールについて|経済産業省

報告書を作成したら、開始報告書と同様に経済産業省の製品事故対策室宛へ電子メールを送信します。メールアドレスは、以下になります。

seihin-anzen@meti.go.jp

メールを送信したら、製品リコール進捗状況の報告書の提出は終了となります。

製品リコール進捗報告終了のための自己評価報告書の提出方法

リコールをする要因となった製品事故が3年以上発生しておらず、

  • a.リコール実施率が90%を超えた場合
  • b.進捗率が2年以上変わっていない場合

のいずれかに該当すれば、「製品リコール進捗報告終了のための自己評価報告書」を提出することで経済産業省への定期的な報告は終了となります。

製品リコール進捗報告終了のための自己評価報告書」のフォーマットは以下の通りです。

フォーマット

フォーマットは下記リンク先よりダウンロードができます。

リコールについて|経済産業省

製品リコール進捗報告終了のための自己評価報告書は、以下のメールアドレスに送信します。

seihin-anzen@meti.go.jp

メールを送信したら、製品リコール進捗状況の報告書の提出は終了となります。

また、経済産業省への定期的な報告が終了となっても、リコール自体が終了する訳ではありません。事前に決定した目標に到達するまでは、リコールは続けていくことが必要です。

以上が、消費生活用製品をリコールする場合の通知方法です

繰り返しますが、リコールが決定した時点で通知は迅速に行う必要があります。

消費者の安全を守ることを第一に考えて、一つ一つのステップを素早く実行しましょう。

報告の終了がリコールの終了ではない

経済産業省への通知が終了したとしても、リコール自体を終了する訳ではありません。

事前に企業側で設定した目標に到達するまではしっかりとリコールは続けていく必要があります。

企業の利益だけではなく消費者の安全のために、リコールは最後までやり切りましょう。

3-2. 医薬品・医療機器・化粧品の場

医薬品・医療機器・化粧品については、製品を回収することが決定した場合のみ、厚生労働大臣または会社が所在している都道府県の知事宛に文書を郵送して報告する必要があります。

回収を行う場合は、以下の3点の書類を作成して送付しましょう。

  • 回収着手報告書
  • 回収進捗状況の報告書
  • 回収終了の報告書

それぞれの書類の提出方法について詳しく解説を行っていきます。

回収着手報告書の提出方法

製品の回収を行うと決定した時点で、回収着手報告書を厚生労働大臣宛に文章を郵送して報告する必要があります。

回収着手報告書に記載する内容は以下の通りです。

  • 回収を行う者の氏名と住所
  • 製品の名称
  • 製品の許可番号と許可年月日
  • 製品の登録番号と登録年月日
  • 製品の承認番号と承認年月日
  • 回収対象数
  • 製造番号か製造記号と製造年月日、または輸入年月日
  • 製造所またはその製造所を管轄している事務所の名称と住所
  • ・製品が輸出されたものである場合は、輸出先の国名
  • 回収の理由
  • 回収を始めた年月日
  • 回収の方法(どのように製品を回収するか)
  • 回収終了予定日
  • 被害の発生、拡大防止のために取る対応
  • 回収対象医療機関・患者等の範囲
  • 回収先において、回収の対象となる医薬品や医療機器等を受領したことを文書により確認する旨
  • 予想される健康被害の程度
  • 回収を決定した時点での、健康被害の発生状況

消費生活用製品とは異なり、厚生労働省が定める報告のフォーマットはありません。指定された情報を入れて、自分で文書を作成し報告する必要があります。最優先は、迅速に報告をすることです。

デザインを凝る必要はありません。厚生労働省が見てわかる範囲で素早く書類を作って報告をしましょう。以下に報告書の作成例を用意したので、活用してください。

フォーマット

フォーマットのダウンロードはこちらから行えます。

回収進捗状況の報告

消費生活用製品とは異なり、進捗状況に関しては必ずしも報告の義務があるわけではありません。

しかし以下に当てはまる場合は、会社が所在する都道府県の知事宛に文書を郵送して経過報告をする必要があります。

  • 開始時に報告した内容に変更が生じた場合
  • 回収を開始した段階では、想定していなかった健康被害が生まれてしまった場合
  • 厚生労働大臣が報告の必要があると判断した場合

もし条件に当てはまる場合は、迅速に報告を行いましょう。こちらも報告のフォーマットは定められていませんので、自分で文書を作成する必要があります。

以下に報告書の作成例を用意したので、活用してください。

フォーマット

フォーマットのダウンロードはこちらから行えます。

回収終了の報告

目標の数値に到達しリコールを終了する場合は、厚生労働大臣宛に回収終了報告書を郵送します。

回収終了報告書に記載する内容は、以下の通りです。

  • 事業者の情報
  • 製品の情報
  • これまでに講じた改善策の内容
  • 回収した医薬品・医療機器等の処分方法 
  • 回収した医薬品・医療機器等の数量

回収着手報告書と回収進捗状況報告書と同様に、こちらもフォーマットは定められていません。以下を参考に作成をしてください。

フォーマット

フォーマットのダウンロードはこちらから行えます。

3-3. 食品の場合

2020年5月時点では、食品にリコール通知義務はありません。

しかし、食品衛生法と食品表示法の改正に伴い2021年6月より義務付けれらることが決定しています。

※場合によっては、2021年6月より早くに義務化される可能性もありますので、厚生労働省の情報は常にチェックしましょう。

具体的には、

  • 大腸菌による汚染や異物の混入など(食品衛生法に違反)
  • アレルゲンや消費期限などの安全性に関係する表示に欠落や誤り(食品表示法に違反)

による自主回収を行う場合には、企業が所在している都道府県に通知が義務付けられることになります。

届出は、原則的にオンライン上で情報を入力して行う形になるようですが、より詳しい届出事項と届出方法については今後厚生労働省より発表される予定です。

4. 【通知先2つ目】保険会社へのリコール通知

保険

リコール保険に加入している場合は、保険会社への通知が必要です。もし通知を怠ってしまうと、保険会社から適切な補償を受けることが出来ずに、会社に大きな損害を与えてしまうことになります。

リコールを実施する前に必ず、

①リコール保険に加入しているかどうか

②どの保険に加入しているか

③加入している保険会社の連絡先

を確認して、保険会社へ迅速に連絡をしましょう。

5. 【通知先3つ目】消費者へのリコール通知

リコール

リコールを実施する場合は、当然消費者へ通知しなければなりません。リコール実施が決定した場合は、すぐに通知を行うための準備に取り掛かりましょう。通知を正しく行うためには、まずはリコール対応の全体図を理解する必要があります。

リコール対応は、以下の手順で行います。

リコール対応

  • 対策本部を設置する

リコール対応を統括するための組織を設置します。

  • 製品の回収・修理について詳細を決める

製品の回収方法や修理方法を決めます。

  • 消費者への告知について詳細を決める

リコール内容について消費者に知らせる方法を決めます。

  • 関係各所へ情報を共有する

取引先や弁護士などに、リコールの情報を共有します。

  • リコールを実施する

実際にリコールを始めます。

  • リコール状況の監視と評価を行う

リコールが正しく行われているかを監視し、実施方法について再検討します。

消費者にリコールについての情報を正しく伝えるためには、「対策本部を設置する」から「製品の回収・修理について詳細を決める」までのステップについても正しく理解をしている必要があります。

以下の記事でリコール対応の手順について詳しく解説を行っていますので、リコール対応全体の計画がまだ定まっていない方は、記事を一度読んでから消費者へのリコール通知を行ってください。

【経済産業省の情報に準拠】リコールの対応方法をわかりやすく解説

まとめ

いかがでしたでしょうか。最後にもう一度、記事の内容を確認しましょう。

  • リコールが決まったら通知は迅速に行わなければならない

消費者の安全を考えてリコールの通知は迅速に行う必要があります。

  • リコールが決まったら関係省庁に通知をする

「消費者生活用製品」なら「経済産業省」に、「医薬品、医療機器、化粧品」なら「厚生労働省」に通知を行いましょう。「食品」に関しては現時点での通知義務はありませんが、2021年6月から義務化されることが決定しています。

  • リコールが決まったら保険会社に通知をする

リコールが決定したら、リコールを実施する前に必ず保険会社に通知をしましょう。

  • リコールが決まったら消費者に通知する

リコールが決定したら、消費者に通知を行います。消費者に通知を行うためには、リコール全体について理解が必要です。リコール全体の計画をしっかりと決めた上で、通知を行いましょう。

記事を読むことで、初めてリコール対応する方でも迷いなくリコールについての通知が行えるようなイメージを持つことができたはずです。記事を読んで下さったみなさんは、これから実際にリコール対応を行うことになると思います。

リコール対応は決して軽い問題ではなく、慎重に取り組まなければいけない問題です。しかし、一つ一つの手順を正しく実践すれば、適切な対応を行うことができます。

みなさんが抱えている問題が一刻も早く解決することを祈っています。

DEALは、全戸配布スペシャリストです。
告知チラシ、広報誌など全世帯に配布したいものがある方は、お気軽にご相談ください。
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